医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

閲覧履歴

クラビット点滴静注バッグ500mg/100mL

ニューキノロン系注射用抗菌製剤

1キット 3473円

添付文書番号

6241402A1021_1_14

企業コード

430574

作成又は改訂年月

2020年8月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

876241

薬効分類名

ニューキノロン系注射用抗菌製剤

承認等

販売名

クラビット点滴静注バッグ500mg/100mL

販売名コード

6241402G1024

販売名英字表記

CRAVIT INTRAVENOUS DRIP INFUSION

承認番号等

承認番号
22200AMX00962

販売開始年月

2011年1月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

基準名

日本薬局方
レボフロキサシン注射液

規制区分

処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

クラビット点滴静注500mg/20mL

販売名コード

6241402A1021

販売名英字表記

CRAVIT INTRAVENOUS DRIP INFUSION

承認番号等

承認番号
22200AMX00963

販売開始年月

2011年1月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

基準名

日本薬局方
レボフロキサシン注射液

規制区分

処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

レボフロキサシン水和物

禁忌(次の患者には投与しないこと)

〈効能共通〉
  1. 本剤の成分又はオフロキサシンに対し過敏症の既往歴のある患者
〈炭疽等の重篤な疾患以外〉
  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性
  2. 小児等

組成・性状

組成

クラビット点滴静注バッグ500mg/100mL
有効成分
1バッグ中
レボフロキサシン水和物(日局)  512.5mg/100mL
レボフロキサシンとして  500mg/100mL
添加剤
1バッグ中
塩化ナトリウム900mg、pH調節剤
クラビット点滴静注500mg/20mL
有効成分
1バイアル中
レボフロキサシン水和物(日局)  512.5mg/20mL
レボフロキサシンとして  500mg/20mL
添加剤
1バイアル中
pH調節剤

製剤の性状

クラビット点滴静注バッグ500mg/100mL
剤形
色調黄色~帯緑黄色澄明
pH3.8~5.8
浸透圧比1.0~1.2(生理食塩液対比)
クラビット点滴静注500mg/20mL
剤形
色調黄色~帯緑黄色澄明
pH3.8~5.8
浸透圧比約0.9注)(生理食塩液対比)
注)本品20mLを生理食塩液80mLで希釈時。なお、希釈しない場合、本品の浸透圧比は約0.3である。

効能又は効果

〈適応菌種〉
レボフロキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、大腸菌、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、ペスト菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ブルセラ属、野兎病菌、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
〈適応症〉
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、腸チフス、パラチフス、子宮内感染、子宮付属器炎、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、Q熱

用法及び用量

通常、成人にはレボフロキサシンとして1回500mgを1日1回、約60分間かけて点滴静注する。

用法及び用量に関連する注意

〈効能共通〉
  1. 腎機能低下患者では高い血中濃度が持続するので、次の用法及び用量を目安として、必要に応じて投与量を減じ、投与間隔をあけて投与することが望ましい。
    腎機能クレアチニンクリアランス(CLcr)値(mL/min)
    用法及び用量
    20≦CLcr<50
    初日500mgを1回、2日目以降250mgを1日に1回投与する。
    CLcr<20
    初日500mgを1回、3日目以降250mgを2日に1回投与する。
〈腸チフス、パラチフス〉
  1. レボフロキサシンとして(経口剤に切り替えた場合には経口剤の投与期間も含め)14日間投与すること。
〈炭疽〉
  1. 炭疽の発症及び進展の抑制には、欧州医薬品庁(EMA)が60日間の投与を推奨している。症状が緩解した場合には、経口投与に切り替えること。

重要な基本的注意

  1. 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
  2. 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
    1. 事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
    2. 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
    3. 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に投与開始直後は注意深く観察すること。
  3. 意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。
  4. 大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。
  5. 長期投与が必要となる場合には、経過観察を十分に行うこと。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

〈製剤共通〉
  1. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
    痙攣を起こすことがある。
  2. キノロン系抗菌薬に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤又はオフロキサシンに対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)
  3. 重篤な心疾患(不整脈、虚血性心疾患等)のある患者
    QT延長を起こすことがある。
  4. 重症筋無力症の患者
    症状を悪化させることがある。
  5. 大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子(マルファン症候群等)を有する患者
    必要に応じて画像検査の実施を考慮すること。海外の疫学研究において、フルオロキノロン系抗菌薬投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの報告がある。
〈バッグ製剤〉
  1. うっ血性心不全、腎不全、ネフローゼ症候群等、ナトリウムの摂取が問題となる患者
    バッグ製剤には塩化ナトリウムが含まれている。

腎機能障害患者

高い血中濃度の持続が認められている。なお、血液透析又はCAPD(持続的外来腹膜透析)は、体内からのレボフロキサシン除去への影響は少ないと報告があり,,、透析後の追加投与は不要と考えられる。

妊婦

〈炭疽等の重篤な疾患以外〉
  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で胎児器官形成期の投与において胎児の発育遅延及び出生児の行動発達遅延が認められている。
〈炭疽等の重篤な疾患〉
  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性を考慮して投与すること。

授乳婦

授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中へ移行することが報告されている。

小児等

〈炭疽等の重篤な疾患以外〉
  1. 投与しないこと。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。動物実験(幼若犬、若い成犬(13ヵ月齢)、幼若ラット)で関節異常が認められている。
〈炭疽等の重篤な疾患〉
  1. 治療上の有益性を考慮して投与すること。

高齢者

  1. 腱障害があらわれやすいとの報告がある。
  2. 投与量ならびに投与間隔に留意し、慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。

相互作用

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬
フルルビプロフェン等
痙攣を起こすおそれがある。
中枢神経におけるGABAA受容体への結合阻害が増強されると考えられている。
クマリン系抗凝固薬
ワルファリン
ワルファリンの作用を増強し、プロトロンビン時間の延長が認められたとの報告がある。
ワルファリンの肝代謝を抑制、又は蛋白結合部位での置換により遊離ワルファリンが増加する等と考えられている。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
デラマニド等
QT延長を起こすおそれがある。
QT延長作用が相加的に増加するおそれがある。
副腎皮質ホルモン剤(経口剤及び注射剤)
プレドニゾロン
ヒドロコルチゾン等
腱障害のリスクが増大するとの報告がある。これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること。
機序は不明である。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
    ショック、アナフィラキシー(初期症状:紅斑、悪寒、呼吸困難等)があらわれることがある。
  2. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
  3. 痙攣(頻度不明)
  4. QT延長(頻度不明)、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)(頻度不明)
  5. 急性腎障害(頻度不明)、間質性腎炎(頻度不明)
  6. 劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明)
    劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(初期症状:嘔気・嘔吐、食欲不振、倦怠感、そう痒等)があらわれることがある。
  7. 汎血球減少症(頻度不明)、無顆粒球症(頻度不明)、溶血性貧血(頻度不明)、血小板減少(頻度不明)
    汎血球減少症、無顆粒球症(初期症状:発熱、咽頭痛、倦怠感等)、ヘモグロビン尿等を伴う溶血性貧血、血小板減少があらわれることがある。
  8. 間質性肺炎(頻度不明)、好酸球性肺炎(頻度不明)
    発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、好酸球性肺炎があらわれることがあるので、このような症状が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤投与等の適切な処置を行うこと。
  9. 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(頻度不明)
    腹痛、頻回の下痢等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  10. 横紋筋融解症(頻度不明)
    筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがある。
  11. 低血糖(頻度不明)
    低血糖性昏睡に至る例も報告されている。糖尿病患者(特にスルホニルウレア系薬剤やインスリン製剤等を投与している患者)、腎機能障害患者、高齢者であらわれやすい。
  12. アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害(頻度不明)
    腱周辺の痛み、浮腫、発赤等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。臓器移植の既往のある患者であらわれやすい。
  13. 錯乱(頻度不明)、せん妄(頻度不明)、抑うつ等の精神症状(頻度不明)
  14. 過敏性血管炎(頻度不明)
    発熱、腹痛、関節痛、紫斑、斑状丘疹や、皮膚生検で白血球破砕性血管炎等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  15. 重症筋無力症の悪化(頻度不明)
  16. 大動脈瘤(頻度不明)、大動脈解離(頻度不明)
  17. 末梢神経障害(頻度不明)
    しびれ、筋力低下、痛み等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

1%以上
1%未満
頻度不明
過敏症
そう痒症、発疹
蕁麻疹、光線過敏症
精神神経系
不眠
頭痛、めまい、しびれ感、幻覚
傾眠、振戦、ぼんやり、意識障害、錐体外路障害
泌尿器
血尿、尿蛋白陽性
クレアチニン上昇、BUN上昇、尿閉、無尿、頻尿
肝臓
ALT上昇、AST上昇、γ-GTP上昇、ALP上昇
LDH上昇、血中ビリルビン増加
肝機能異常
血液
好酸球数増加
好中球数減少、白血球数減少
血小板数減少、リンパ球数減少、貧血
消化器
下痢、便秘
悪心、嘔吐、食欲不振、腹部不快感、腹痛、口渇、腹部膨満、舌炎
消化不良、胃腸障害、口内炎
感覚器
耳鳴
視覚異常、味覚消失、味覚異常、無嗅覚、嗅覚錯誤
循環器
動悸、低血圧、頻脈
注射部位反応
注射部位紅斑(12.3%)、注射部位そう痒感、注射部位疼痛、注射部位腫脹
静脈炎、注射部位硬結、注射部位熱感、血管炎、注射部位不快感、血管障害、穿刺部位疼痛
その他
CK上昇、尿中ブドウ糖陽性、関節痛、倦怠感、発熱
胸部不快感、四肢痛、咽喉乾燥、熱感、浮腫、筋肉痛、脱力感、胸痛、発汗、高血糖、関節障害

適用上の注意

薬剤調製時の注意
〈製剤共通〉
  1. 本剤を他剤と配合した時に、沈殿、混濁が認められた場合には、投与しないこと。
〈バイアル製剤〉
  1. 生理食塩液等で希釈することが望ましい。なお、調製後は速やかに使用すること。
薬剤投与時の注意
〈製剤共通〉
  1. 本剤はヘパリンナトリウムと配合変化が認められているので、静脈内カテーテル留置を行う際、ヘパリンナトリウムによる血液凝固防止(ヘパリンロック)前後は、ルート内を生理食塩液で洗浄(フラッシング)すること。
  2. 同一の点滴ルートを使用し、本剤と他剤を連続して投与する場合は、本剤と配合変化(沈殿、混濁等)が認められる薬剤があるため、配合変化試験データを参照すること。
  3. 使用後の残液は使用しないこと。
〈バッグ製剤〉
  1. 容器の目盛りはおよその目安として使用すること。
  2. 通気針は不要である。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    健康成人8例にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注した場合、血漿中未変化体濃度推移及び薬物動態パラメータは、次のとおりであった。
    レボフロキサシン500mg単回点滴静注時の血漿中濃度推移
    (8例、平均値±標準偏差)
    レボフロキサシン500mg単回点滴静注時の薬物動態パラメータ
    (ノンコンパートメント解析、8例、平均値±標準偏差)
    Tmax
    (hr)
    Cmax
    (μg/mL)
    t1/2
    (hr)
    AUC0-72hr
    (μg・hr/mL)
    500mg点滴静注
    1.00±0.00
    9.79±1.05
    8.05±1.54
    51.96±4.96
    t1/2:終末相の消失半減期
  2. 経口投与との比較
    健康成人にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注(8例)した場合又は単回経口投与(40例)した場合、薬物動態パラメータは、次のとおりであった。
    レボフロキサシン500mg単回点滴静注及び単回経口投与時の薬物動態パラメータ
    (ノンコンパートメント解析、48例、平均値±標準偏差)
    Tmax
    (hr)
    Cmax
    (μg/mL)
    t1/2
    (hr)
    AUC0-72hr
    (μg・hr/mL)
    500mg点滴静注
    1.00±0.00
    9.79±1.05
    8.05±1.54
    51.96±4.96
    500mg経口投与
    0.99±0.54
    8.04±1.98
    7.89±1.04
    50.86±6.46

分布

  1. 日本人における成績
    患者にレボフロキサシン1回500mgを60分間で点滴静注した場合、喀痰(点滴開始0.5~4時間後で対血漿中濃度比:0.45~1.54、5例)、胆嚢胆汁(点滴開始3時間後で対血漿中濃度比:1.78~2.16、2例)、胆管胆汁(点滴開始3時間後で対血漿中濃度比:1.37~2.31、4例)、腟分泌物(点滴開始3~7時間後で対血漿中濃度比:1.17~2.21、7例)、腹腔内滲出液(点滴開始7~9時間後で対血漿中濃度比:1.35~2.30、3例)に移行性を示した。
  2. 外国人における成績
    健康成人又は患者にレボフロキサシン500mgを単回経口投与した場合、炎症性滲出液(投与後0.5~24時間で対血漿中濃度比:0.2~1.5)、気管支粘膜(投与後0.5~8時間で対血漿中濃度比:0.9~1.8)、気管支肺胞洗浄液(投与後0.5~8時間で対血漿中濃度比:1.1~3.0)、肺マクロファージ(投与後0.5~24時間で対血漿中濃度比:4.1~18.9)、肺組織(投与後2.28~25.43時間で対血漿中濃度比:1.06~9.98)に移行性を示した。
  3. 血漿蛋白結合率
    健康成人にレボフロキサシン500mgを単回点滴静注した場合、ex vivoでの血漿蛋白結合率は、点滴開始1~12時間後において限外ろ過法で約29~33%であった。

代謝

健康成人にレボフロキサシン500mgを1日1回7日間反復投与(60分間点滴静注)した場合、投与量に対する投与後24時間後までの代謝物(脱メチル体及びN-オキサイド体)の尿中排泄率は、いずれも投与量の1%未満であった。

排泄

健康成人にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注した場合、点滴開始後0~4時間までの平均尿中濃度は、513.38μg/mL、投与量に対する投与後72時間までの未変化体の尿中排泄率は、93.9%であった。レボフロキサシンは、主に未変化体の尿中排泄により体内から消失する。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害患者
    母集団薬物動態パラメータを用い、レボフロキサシンを腎機能低下患者に推奨される用法及び用量で、7日間反復点滴静注した場合の薬物動態パラメータを推定した。腎機能低下患者に血漿中濃度の上昇は認められず、投与7日目のAUC0-24hrは腎機能正常者に500mg1日1回反復点滴静注した場合と大きな差は認められなかった。
    腎機能
    (CLcr mL/min)
    用法・用量の目安
    母集団薬物動態解析から推定したパラメータ注1)
    Cmax(μg/mL)
    AUC0-24hr(μg・hr/mL)注2)
    50≦CLcr
    500mgを1日1回投与
    Cmax≦12.26
    AUC0-24hr≦111.75
    20≦CLcr<50
    初日500mgを1回、2日目以降250mgを1日に1回投与
    6.13<Cmax≦8.15
    55.87<AUC0-24hr≦106.36
    10≦CLcr<20
    初日500mgを1回、3日目以降250mgを2日に1回投与
    6.24<Cmax≦7.15
    53.18<AUC0-24hr≦76.11
    注1)体重60kgとした場合
    注2)隔日投与ではAUC0-48hr×1/2
  2. 高齢者
    健康高齢者(65~79歳)及び健康非高齢者(20~45歳)にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注した場合の薬物動態パラメータは、次のとおりであった。
    (ノンコンパートメント解析、48例、平均値±標準偏差)
    例数
    Tmax
    (hr)
    Cmax
    (μg/mL)
    AUC0-24hr
    (μg・hr/mL)
    高齢者
    24
    1.00±0.00
    11.19±2.26
    75.98±11.51
    非高齢者
    24
    1.00±0.00
    9.25±1.94
    56.63±10.89

薬物相互作用

  1. シメチジン、プロベネシド
    健康成人にシメチジン400mgを1日2回3日間又はプロベネシド500mgを1日4回5日間投与し、シメチジン投与1日目又はプロベネシド投与3日目にレボフロキサシン500mgを60分間で点滴静注したところ、シメチジンの併用によって、AUC0-72hrは1.3倍に上昇し、t1/2は7.6時間から11.7時間に延長した。またプロベネシドの併用によって、AUC0-72hrは1.5倍に上昇し、t1/2は7.6時間から12.4時間に延長した。一方、Cmax及び累積尿中排泄率(投与後0~72時間)にシメチジン又はプロベネシド併用による大きな差は認められなかった。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、胆嚢炎、胆管炎〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    外傷・熱傷及び手術創等の二次感染患者及び急性胆嚢炎及び急性胆管炎患者を対象に、レボフロキサシン500mgを1日1回点滴静注した時の有効性及び安全性を検討することを目的として実施した非盲検非対照試験の結果は、次のとおりであった。
    疾患名
    有効症例/総症例
    有効率(%)
    外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
    9/10注1)
    90.0
    急性胆嚢炎
    5/5注1)
    100
    急性胆管炎
    3/3
    100
    注1)本剤からレボフロキサシン錠500mg1日1回投与への切り替え療法が1例で行われた。
    副作用発現頻度は13.6%(3/22例)であり、腹部不快感、下痢、湿疹、注射部位紅斑、注射部位疼痛、注射部位腫脹、ALT増加、AST増加の各4.5%(1/22例)であった。
〈肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    市中肺炎患者を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討することを目的として実施した無作為化非盲検並行群間比較試験の結果は、次のとおりであった。
    レボフロキサシン群注2)
    セフトリアキソン群注3)
    群間差(%)
    [95%信頼区間]注4)
    有効症例/総症例
    有効率(%)
    有効症例/総症例
    有効率(%)
    92/104
    88.5
    79/89
    88.8
    -0.3[-9.3, 8.7]
    注2)レボフロキサシン500mgを1日1回点滴静注
    注3)セフトリアキソン1gを1日2回点滴静注
    注4)正規近似
    副作用発現頻度は53.7%(73/136例)であり、主な副作用は注射部位紅斑17.6%(24/136例)、注射部位そう痒感11.0%(15/136例)、ALT増加11.0%(15/136例)であった。
  2. 国内臨床試験
    呼吸器感染症患者を対象に、レボフロキサシン500mgを1日1回点滴静注した時の有効性及び安全性を検討することを目的として実施した臨床試験の結果は、次のとおりであった,
    疾患名
    有効症例/総症例
    有効率(%)
    市中肺炎(非定型肺炎を含む)
    232/250
    92.8
    マイコプラズマ肺炎
    17/17
    100
    クラミジア肺炎
    4/4
    100
    レジオネラ肺炎
    1/1
    100
    慢性呼吸器病変の二次感染
    33/35
    94.3
〈膀胱炎、腎盂腎炎〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    複雑性膀胱炎及び腎盂腎炎患者を対象に、レボフロキサシン500mgを1日1回点滴静注した時の有効性及び安全性を検討することを目的として実施した無作為化非盲検並行群間比較試験の結果は、次のとおりであった。
    レボフロキサシン群注5)
    パズフロキサシン群注6)
    群間差(%)
    [95%信頼区間]注7)
    有効症例/総症例
    細菌学的効果の有効率(%)
    有効症例/総症例
    細菌学的効果の有効率(%)
    119/127
    93.7
    111/124
    89.5
    4.2[-2.7, 11.0]
    注5)レボフロキサシン500mgを1日1回5日間点滴静注
    注6)パズフロキサシン500mgを1日2回5日間点滴静注
    注7)正規近似
    疾患名
    有効症例/総症例
    細菌学的効果の有効率(%)
    複雑性膀胱炎
    36/39注8),注9)
    92.3注9)
    腎盂腎炎
    83/88注10)
    94.3注10)
    急性単純性腎盂腎炎
    41/43注8)
    95.3
    複雑性腎盂腎炎
    42/45注8)
    93.3
    注8)本剤からレボフロキサシン錠500mg1日1回投与への切り替え療法を含む。切り替え療法は、複雑性膀胱炎37例、急性単純性腎盂腎炎41例、複雑性腎盂腎炎43例で行われた。
    注9)本剤投与5日後の判定であり、投与終了5~9日後は73.7%(28/38)であった。
    注10)本剤投与5日後の判定であり、投与終了5~9日後は77.3%(68/88)であった。
    副作用発現頻度は30.2%(49/162例)であった。主な副作用は、注射部位紅斑8.0%(13/162例)、注射部位そう痒感6.2%(10/162例)、注射部位疼痛4.3%(7/162例)であった。
〈前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    性器感染症患者を対象に、レボフロキサシン500mgを1日1回点滴静注した時の有効性及び安全性を検討することを目的として実施した臨床試験の結果は、次のとおりであった。
    疾患名
    有効症例/総症例
    細菌学的効果の有効率(%)
    急性細菌性前立腺炎
    5/6注11)
    83.3
    急性精巣上体炎
    5/6注11)
    83.3
    細菌性精巣上体炎
    2/3
    66.7
    クラミジア性精巣上体炎
    3/3
    100
    注11)本剤からレボフロキサシン錠500mg1日1回投与への切り替え療法を含む。切り替え療法は、急性細菌性前立腺炎6例、急性精巣上体炎6例で行われた。
    副作用発現頻度は22.2%(4/18例)で、便秘、接触性皮膚炎、注射部位紅斑、注射部位疼痛の各5.6%(1/18例)であった。
〈腹膜炎〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    腹膜炎患者を対象に、レボフロキサシン500mgを1日1回点滴静注した時の有効性及び安全性を検討することを目的として実施した非盲検非対照試験の結果は、次のとおりであった。
    疾患名
    有効症例/総症例
    有効率(%)
    腹膜炎
    12/17
    70.6
    腹膜炎(骨盤内炎症性疾患による腹膜炎を除く)
    8/13
    61.5
    骨盤内炎症性疾患による腹膜炎
    4/4
    100
    副作用発現頻度は28.6%(6/21例)で、主な副作用は注射部位紅斑14.3%(3/21例)であった。
〈子宮内感染、子宮付属器炎〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    子宮内感染及び子宮付属器炎患者を対象に、レボフロキサシン500mgを1日1回点滴静注した時の有効性及び安全性を検討することを目的として実施した非盲検非対照試験の結果は、次のとおりであった。
    疾患名
    有効症例/総症例
    有効率(%)
    子宮内感染
    6/7注12)
    85.7
    子宮付属器炎
    8/10注12)
    80.0
    注12)本剤からレボフロキサシン錠500mg1日1回投与への切り替え療法を含む。切り替え療法は、子宮内感染5例、子宮付属器炎9例で行われた。
    副作用発現頻度は38.1%(8/21例)で、主な副作用は、ALT増加及びAST増加の各14.3%(3/21例)であった。
〈効能共通〉
  1. 国内臨床試験
    各種感染症患者を対象に、レボフロキサシン500mgを1日1回点滴静注した時の有効性及び安全性を検討することを目的として実施した臨床試験の菌種別菌消失率は、次のとおりであった。
    菌種・菌属
    消失菌株/菌消失率評価株数
    菌消失率(%)
    ブドウ球菌属
    30/31
    96.8
    レンサ球菌属
    14/14
    100
    肺炎球菌
    59/60
    98.3
    ペニシリン耐性肺炎球菌注13)
    5/5
    100
    腸球菌属
    33/35
    94.3
    モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス
    11/11
    100
    大腸菌
    113/115
    98.3
    シトロバクター属
    4/4
    100
    クレブシエラ属
    31/31
    100
    エンテロバクター属
    9/9
    100
    セラチア属
    4/4
    100
    プロテウス属
    4/5
    80.0
    インフルエンザ菌
    60/60
    100
    緑膿菌
    10/12
    83.3
    レジオネラ属
    1/1
    100
    ペプトストレプトコッカス属
    18/24
    75.0
    プレボテラ属
    4/4
    100
    注13)ペニシリン耐性肺炎球菌:ベンジルペニシリン(PCG)のMIC≧2.0μg/mL

薬効薬理

作用機序
本剤は、ラセミ体であるオフロキサシンの一方の光学活性S体であるレボフロキサシンの水和物を含有するニューキノロン系抗菌製剤で、細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣに作用し、DNA複製を阻害する。DNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣ阻害活性は、オフロキサシンの約2倍の強さであった,,,,,。抗菌作用は殺菌的であり,、MIC付近の濃度で溶菌が認められた。
抗菌作用
レボフロキサシンは、嫌気性菌を含むグラム陽性菌群及びグラム陰性菌群に対し、広範囲な抗菌スペクトルを有し、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、ならびに大腸菌、クレブシエラ属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属を含む腸内細菌科、緑膿菌を含むブドウ糖非発酵グラム陰性菌群、インフルエンザ菌、レジオネラ属、ペプトストレプトコッカス属、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)などに抗菌活性を示した。また、チフス菌、パラチフス菌、炭疽菌、ペスト菌、ブルセラ属、野兎病菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)に対しても抗菌力を示した,,,,,,,,,,,,,,
実験的マウス感染治療試験において、レボフロキサシンは、治療効果を示した。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
レボフロキサシン水和物(Levofloxacin Hydrate)
化学名
(3S)-9-Fluoro-3-methyl-10-(4-methylpiperazin-1-yl)-7-oxo-2,3-dihydro-7H-pyrido[1,2,3-de][1,4]benzoxazine-6-carboxylic acid hemihydrate
分子式
C18H20FN3O41/2H2O
分子量
370.38
性状
淡黄白色~黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。
酢酸(100)に溶けやすく、水又はメタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくい。
0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
光によって徐々に暗淡黄白色になる。
化学構造式
融点
約226℃(分解)
分配係数
n-オクタノール-Sörensen緩衝液(pH7.0);0.553(37℃)
略号
LVFX

取扱い上の注意

〈バッグ製剤〉
  1. 製品の品質を保持するため、本品を包んでいる外袋は使用時まで開封しないこと。
  2. 外袋が破損しているときや内容液が漏出しているときは使用しないこと。
〈バイアル製剤〉
  1. 製品の品質を保持するため、バイアルの外箱は使用時まで開封しないこと。

包装

〈クラビット点滴静注バッグ500mg/100mL〉
(100mL) 10袋
〈クラビット点滴静注500mg/20mL〉
(20mL) 1バイアル

主要文献

1
社内資料:Effects of Renal Dysfunction(2009年4月22日承認、CTD2.7.6.4)
2
梅田 優ほか:日本透析医学会雑誌 1997;30(2):109-115
3
Kanamori M, et al.:臨床薬理 2001;32(3):91-99
4
社内資料:配合変化試験
5
草地信也ほか:日本化学療法学会雑誌 2017;65(3):445-455
6
河野 茂ほか:日本化学療法学会雑誌 2011;59(S-1):32-45
7
河野 茂ほか:日本化学療法学会雑誌 2011;59(S-1):18-31
8
安田 満ほか:日本化学療法学会雑誌 2016;64(6):796-812
9
濱砂良一ほか:日本化学療法学会雑誌 2017;65(3):484-490
10
竹末芳生ほか:日本化学療法学会雑誌 2017;65(3):456-468
11
三鴨廣繁ほか:日本化学療法学会雑誌 2017;65(3):469-483
12
Fujimoto T, et al.:Chemotherapy 1990;36:268-276
13
Imamura M, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1987;31(2):325-327
14
Hoshino K, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1991;35(2):309-312
15
Hoshino K, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1994;38(11):2623-2627
16
Tanaka M, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1991;35(7):1489-1491
17
Tanaka M, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1997;41(11):2362-2366
18
Une T, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1988;32(9):1336-1340
19
Tanaka M, et al.:Arzneimittel-Forsch/Drug Res. 1989;39(Ⅱ)(7):750-754
20
社内資料:Legionella pneumophilaに対するin vitro抗菌活性
21
Tanaka M, et al.:J Antimicrob Chemother. 1990;26(5):659-666
22
五島瑳智子ほか:Chemotherapy 1992;40(S-3):14-26
23
渡辺邦友ほか:Chemotherapy 1992;40(S-3):57-63
24
西野武志ほか:Chemotherapy 1992;40(S-3):36-50
25
山口惠三ほか:Jpn J Antibiot. 2012;65(3):181-202
26
Frean JA, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1996;40(11):2646-2647
27
Urich SK, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 2008;52(6):2276-2278
28
Tanyel E, et al.:Saudi Med J. 2007;28(8):1239-1242
29
Cavallo JD, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 2002;46(7):2307-2309
30
Andoh M, et al.:Microbiol Immunol. 2004;48(9):661-664
31
広瀬健二ほか:病原微生物検出情報 2005;26:89-90
32
社内資料:好気性菌及び嫌気性菌に対するin vitro抗菌活性

文献請求先及び問い合わせ先

第一三共株式会社 製品情報センター
〒103-8426 東京都中央区日本橋本町3-5-1
TEL:0120-189-132

製造販売業者等

製造販売元
第一三共株式会社
東京都中央区日本橋本町3-5-1

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

MESSAGE

MESSAGE

LABEL