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閲覧履歴

フィニバックスキット点滴静注用0.25g

カルバペネム系抗生物質製剤

1キット 1317円

添付文書番号

6139402D1032_1_11

企業コード

340018

作成又は改訂年月

2020年12月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

876139

薬効分類名

カルバペネム系抗生物質製剤

承認等

販売名

フィニバックス点滴静注用0.25g

販売名コード

6139402D1032

販売名英字表記

FINIBAX for Intravenous Drip Infusion 0.25g

販売名ひらがな

ふぃにばっくすてんてきじょうちゅうよう0.25g

承認番号等

承認番号
22300AMX00576000

販売開始年月

2005年9月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

基準名

日本薬局方
注射用ドリペネム

規制区分

処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

フィニバックス点滴静注用0.5g

販売名コード

6139402D2020

販売名英字表記

FINIBAX for Intravenous Drip Infusion 0.5g

販売名ひらがな

ふぃにばっくすてんてきじょうちゅうよう0.5g

承認番号等

承認番号
22300AMX00625000

販売開始年月

2011年11月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

基準名

日本薬局方
注射用ドリペネム

規制区分

処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

フィニバックスキット点滴静注用0.25g

販売名コード

6139402G1039

販売名英字表記

FINIBAX for Intravenous Drip Infusion 0.25g Kits

販売名ひらがな

ふぃにばっくすきっとてんてきじょうちゅうよう0.25g

承認番号等

承認番号
22300AMX00577000

販売開始年月

2006年6月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

基準名

日本薬局方
注射用ドリペネム

規制区分

処方箋医薬品 注3)
注3)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

ドリペネム水和物

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. バルプロ酸ナトリウムを投与中の患者

組成・性状

組成

フィニバックス点滴静注用0.25g
1瓶中
有効成分
ドリペネム水和物  0.25g(力価)
フィニバックス点滴静注用0.5g
1瓶中
有効成分
ドリペネム水和物  0.5g(力価)
フィニバックスキット点滴静注用0.25g
1キット中
有効成分
ドリペネム水和物  0.25g(力価)

製剤の性状

フィニバックス点滴静注用0.25g
pH4.5~6.0
10mg(力価)/mL
水溶液
浸透圧比約1
2.5mg(力価)/mL
生理食塩液
〔生理食塩液に対する比〕
性状・剤形
白色~微黄褐白色の結晶性の粉末である。(注射剤)
フィニバックス点滴静注用0.5g
pH4.5~6.0
10mg(力価)/mL
水溶液
浸透圧比約1
5mg(力価)/mL
生理食塩液
〔生理食塩液に対する比〕
性状・剤形
白色~微黄褐白色の結晶性の粉末である。(注射剤)
フィニバックスキット点滴静注用0.25g
フィニバックスキット点滴静注用0.25g
pH4.5~6.0
2.5mg(力価)/mL
生理食塩液
浸透圧比約1
2.5mg(力価)/mL
生理食塩液
〔生理食塩液に対する比〕
性状・剤形
白色~微黄褐白色の結晶性の粉末である。(注射剤)
添付溶解液
1キット中
日局生理食塩液100mL
注:1つのプラスチック容器に隔壁を設けて、上室に薬剤、下室に溶解液を充てんした注射剤

効能又は効果

〈適応菌種〉
ドリペネムに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属(エンテロコッカス・フェシウムを除く)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属
〈適応症〉
敗血症、感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、複雑性膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、化膿性髄膜炎、眼窩感染、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、眼内炎(全眼球炎を含む)、中耳炎、顎骨周辺の蜂巣炎、顎炎

効能又は効果に関連する注意

〈咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、中耳炎〉
「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

用法及び用量

通常、成人にはドリペネムとして1回0.25g(力価)を1日2回又は3回、30分以上かけて点滴静注する。
なお、年齢・症状に応じて適宜増減するが、重症・難治性感染症には、1回0.5g(力価)を1日3回投与し、増量が必要と判断される場合に限り1回量として1.0g(力価)、1日量として3.0g(力価)まで投与できる。
通常、小児にはドリペネムとして1回20mg(力価)/kgを1日3回、30分以上かけて点滴静注する。
なお、年齢・症状に応じて適宜増減するが、重症・難治性感染症には、1回40mg(力価)/kgまで増量することができる。ただし、投与量の上限は1回1.0g(力価)までとする。

用法及び用量に関連する注意

  1. 腎機能障害患者への投与に際しては、下表を目安に投与量を調節すること。
    腎機能正常者の1日投与量に対応するCcr別の1日投与量の目安
    Ccr
    (mL/min)
    腎機能正常者(70≦Ccr)の1日投与量に対応する1日投与量(力価)
    0.25g×2回
    0.25g×3回
    0.5g×3回
    1.0g×3回
    50≦Ccr<70
    0.25g×2回
    0.25g×2~3回
    0.5g×2~3回
    1.0g×2回※1
    30≦Ccr<50
    0.25g×2回
    0.25g×3回
    又は0.5g×2回
    0.5g×3回
    Ccr<30
    0.25g×2回※2
    0.25g×3回※2
    Ccr:クレアチニンクリアランス
    ※1:1.0g×3回投与は避けることが望ましい。
    ※2:低体重患者では安全性に留意し、慎重に投与すること。
  2. 本剤の使用に際しては、投与開始後3日を目安として更に継続投与が必要か判定し、投与中止又はより適切な他剤に切り替えるべきか検討を行うこと。

重要な基本的注意

  1. 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
  2. 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
    1. 事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
    2. 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
    3. 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
  3. 発疹等の副作用の発現には特に注意し、症状が発現した時には、他剤に切り替えるなど適切な処置を講じること。なお、継続使用にあたっても、引き続き副作用症状に注意すること。
  4. 肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。
  5. 急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。
  6. 汎血球減少症、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少、溶血性貧血があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行うこと。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

〈製剤共通〉
  1. カルバペネム系、ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)
  2. 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
  3. 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者
    観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。
  4. てんかんの既往歴あるいは脳血管障害等の中枢神経障害を有する患者
    痙攣、意識障害等の中枢神経症状が起こりやすい。
〈キット点滴静注用0.25g〉(生理食塩液に関する注意)
  1. 心臓、循環器系機能障害のある患者
    ナトリウムの負荷及び循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。

腎機能障害患者

〈製剤共通〉
  1. 高度の腎機能障害のある患者
    1. 投与量を減らすか、投与間隔をあけるなど患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。腎機能低下に伴い、血中からの消失が遅延する。
    2. 痙攣、意識障害等の中枢神経症状が起こりやすい。
  2. 軽度又は中等度の腎障害のある患者
    痙攣、意識障害等の中枢神経症状が起こりやすい。
〈キット点滴静注用0.25g〉(生理食塩液に関する注意)
  1. 水分、塩化ナトリウムの過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。

肝機能障害患者

肝障害が悪化するおそれがある。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。

小児等

低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

  1. 用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は腎排泄型の薬剤であり、高齢者では一般に生理機能が低下していることが多い。
  2. ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

相互作用

併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
バルプロ酸ナトリウム
デパケン、バレリン等
バルプロ酸の血中濃度が低下し、てんかんの発作が再発するおそれがある。
機序は不明である。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(0.1%未満注)
    不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  2. 偽膜性大腸炎(0.1~1%未満)
    偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
  3. 肝機能障害(0.1~1%未満注))、黄疸(0.1%未満注)
  4. 急性腎障害(0.1~1%未満注)
    急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。
  5. 汎血球減少症(0.1%未満注))、無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(0.1%未満注))、血小板減少(0.1~1%未満注))、溶血性貧血(頻度不明)
  6. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
  7. 間質性肺炎(0.1%未満注)
    発熱、咳嗽、呼吸困難等の異常が認められた場合には速やかに胸部X線検査等を実施し、間質性肺炎が疑われる場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
  8. 痙攣(0.1~1%未満注))、意識障害(頻度不明)
    痙攣、意識障害等の中枢神経症状があらわれることがある。

その他の副作用

5%以上
0.5~5%未満
0.5%未満
頻度不明
過敏症
発疹
そう痒、発熱、発赤、蕁麻疹
血液
顆粒球減少、血小板増多、好酸球増多
貧血(赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少)、血小板減少、好塩基球増多
肝臓
AST上昇、ALT上昇
LDH上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇、LAP上昇、ビリルビン上昇
腎臓
BUN上昇、血清クレアチニン上昇注)
消化器
下痢
嘔気、嘔吐、胃不快感、腹痛、食欲不振注)
精神神経系
しびれ感、振戦
菌交代症
口内炎、カンジダ症注)
ビタミン
欠乏症
ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)注)
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)
その他
血清カリウム上昇
頭痛、倦怠感、ほてり、注射部位血管痛、電解質異常(血清カリウム、血清ナトリウム、血清クロール)注)
注)製造販売後調査の結果に基づく

臨床検査結果に及ぼす影響

  1. テステープ反応を除くベネディクト試薬、フェーリング試薬による尿糖検査では偽陽性を呈することがある。
  2. 直接クームス試験陽性を呈することがある。
  3. ウロビリノーゲン検査では偽陽性を呈することがある。

適用上の注意

薬剤調製時の注意
〈製剤共通〉
  1. 調製後は速やかに使用すること。なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも日局生理食塩液に溶解した場合、室温保存では8時間以内に、冷蔵庫保存では24時間以内に使用すること。
〈点滴静注用0.25g、点滴静注用0.5g〉
  1. 通常、生理食塩液100mLを用いて、よく振盪して溶解する。注射用水は溶液が等張とならないため使用しないこと。また、L-システイン及びL-シスチンを含むアミノ酸製剤と配合すると、著しく力価が低下するので、配合しないこと。
  2. 0.25g製剤1瓶を主な輸液製剤に溶解したときの含量を表14-1に示す。
    表14-1 主な輸液製剤との配合変化
    輸液製剤
    含量(%)
    名称
    配合量
    8時間保存後
    24時間保存後
    大塚糖液5%
    100mL
    97
    90
    KN1号輸液
    500mL
    96
    91
    KN3号輸液
    500mL
    95
    88
    アクチット輸液
    500mL
    97
    92
    ヴィーンD輸液
    500mL
    96
    90
    キリット注5%
    300mL
    98
    94
    フィジオゾール3号輸液
    500mL
    95
    85
    ラクテックG輸液
    500mL
    93
    79
    ポタコールR輸液
    500mL
    93
    80
    注:初期値に対する残存率(%)で表示、測定法;HPLC
    保存条件:25℃
〈キット点滴静注用0.25g〉
  1. 溶解液(日局生理食塩液)部分を手で押して隔壁を開通させ、更に溶解液部分を繰り返し押して薬剤を完全に溶解する。
    (詳しい溶解方法については、キット製品の外袋及びカバーシートに記載の溶解操作方法を参照のこと。)
  2. 残液は決して使用しないこと。
薬剤投与時の注意
容器の液目盛りはおよその目安として使用すること。

薬物動態

血中濃度

健康成人男性各6例に0.25g(力価)、0.5g(力価)及び1.0g(力価)を30分かけて単回点滴静注したときの血漿中濃度を図16-1に、薬物動態パラメータを表16-1に示す。反復投与での体内動態は単回投与時とほとんど変わらなかった。
表16-1 薬物動態パラメータ
投与量
〔g(力価)〕
例数
Cmax
(μg/mL)
AUC0-12
(μg・hr/mL)
T1/2(β)
(hr)
0.25
6
18.1±1.9
20.26±3.48
0.90±0.08
0.5
6
33.1±4.8
34.38±2.23
0.86±0.04
1.0
6
63.0±5.1
75.52±5.89
0.98±0.09
(測定法:bioassay)(平均値±標準偏差)

分布

  1. 組織移行
    皮膚組織、関節液、滑膜、海綿骨、皮質骨、喀痰、前立腺組織、胆汁、胆嚢、腹腔内滲出液、子宮・子宮付属器、骨盤死腔液、前房水、中耳粘膜、口蓋扁桃、中耳分泌物、歯肉、嚢胞、髄液への移行が認められた,
  2. 乳汁中移行
    授乳ラットに[14C]-ドリペネム20mg(力価)/kgを静脈内投与したときの乳汁中放射能濃度は投与30分後に最高濃度に達したが、血漿中放射能濃度の約1/6であった。
  3. 蛋白結合
    0.5g(力価)1日2回反復投与試験において限外ろ過法にて測定した血清蛋白結合率は約9%であった。

代謝

ヒト腎デヒドロペプチダーゼ-Iに安定性を示す(in vitro試験)。

排泄

主として糸球体ろ過及び尿細管分泌により腎から尿中に排泄される。健康成人男性6例に0.25g(力価)、0.5g(力価)及び1.0g(力価)を単回点滴静注したときの尿中排泄率は、投与量に関係なく、24時間までに未変化体として約75%、βラクタム環が開裂したジカルボン酸体(主代謝物)を含めると約90%であった。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害患者
    1. 腎機能障害患者12例に0.25g(力価)を30分かけて単回点滴静注したとき、腎機能の低下に伴い、血中からの消失が遅延する傾向が認められた(表16-2)。
      表16-2 薬物動態パラメータ
      Ccr
      (mL/min)
      例数
      Cmax
      (μg/mL)
      AUC0-24
      (μg・hr/mL)
      T1/2(β)
      (hr)
      50≦Ccr<70
      4
      21.9±1.3
      40.55±5.89
      1.98±0.38
      30≦Ccr<50
      6
      21.2±4.6
      48.21±13.41
      2.16±0.32
      Ccr<30
      2
      17.9
      64.31
      3.56
      Ccr:クレアチニンクリアランス
      (測定法:bioassay、HPLC)(平均値±標準偏差)
    2. 健康成人、腎機能障害患者及び健康高齢者の92例から得られた921ポイントの血漿中濃度について、母集団薬物動態解析を行った。本剤の薬物動態に対する影響因子として、腎機能障害の程度(Ccr)の影響が大きく、Ccrに応じた投与量の調節が必要であると考えられた。
      Ccr別の1日投与量ごとの曝露量(1日あたりのAUC)を表16-3に示す。
      表16-3 Ccr別の1日投与量ごとの1日あたりのAUC
      (定常状態)
      Ccr
      (mL/min)
      1日投与量ごとの1日あたりのAUC(μg・hr/mL)
      0.25g×2回
      0.25g×3回
      0.5g×2回
      0.5g×3回
      1.0g×2回
      1.0g×3回
      Ccr≧105
      34.7
      (28.2-42.5)
      52.3
      (42.7-64.3)
      69.4
      (56.4-85.5)
      104
      (84.4-129)
      139
      (113-172)
      209
      (170-256)
      70≦Ccr<105
      41.3
      (31.7-54.7)
      62.2
      (47.4-82.3)
      82.7
      (62.9-110)
      124
      (95.0-165)
      165
      (126-218)
      250
      (191-331)
      50≦Ccr<70
      58.2
      (44.8-76.0)
      87.5
      (67.5-115)
      117
      (90.3-153)
      175
      (135-229)
      233
      (181-305)
      349
      (271-459)
      30≦Ccr<50
      82.9
      (61.3-117)
      124
      (91.3-176)
      166
      (122-235)
      250
      (182-346)
      332
      (246-472)
      498
      (368-700)
      Ccr<30
      145
      (95.9-269)
      215
      (141-397)
      293
      (189-518)
      433
      (285-798)
      587
      (378-1050)
      872
      (574-1580)
      Ccr:クレアチニンクリアランス
      注:中央値(90%予測範囲)、母集団薬物動態解析パラメータ(NONMEMを用いて推定)によるシミュレーション結果
    3. 血液透析患者6例に0.5g(力価)を1時間かけて単回点滴静注したときの血漿中濃度を図16-2に示す。点滴開始2時間後から4時間かけて透析することにより血液透析未実施の場合と比較してAUCは43%に低下した(外国人データ)。
  2. 小児患者
    小児患者(2ヵ月~13歳)99例に20mg(力価)/kg〔体重25kg以上は0.5g(力価)〕を30分以上かけて点滴静注したときの血漿中濃度(190ポイント)を図16-3に示す。また、母集団薬物動態解析結果に基づいて推定した薬物曝露量を表16-4に示す。
    表16-4 小児における薬物曝露量推定値注1(1日3回投与)
    投与量注2
    〔mg(力価)/kg〕
    例数
    Cmax
    (μg/mL)
    1日あたりのAUC
    (μg・hr/mL)
    20
    99
    30.5±2.6
    140.6±23.1
    注1:NONMEMを用いて推定
    注2:体重25kg以上は0.5g(力価)
    (平均値±標準偏差)
  3. 高齢者
    健康高齢者(66~69歳)6例に0.25g(力価)を30分かけて単回点滴静注したとき、高齢者では非高齢者に比べて血中からの消失が遅延する傾向が認められるものの、Cmaxに有意な差はみられなかった(表16-5)。
    表16-5 薬物動態パラメータ
    投与量
    〔g(力価)〕
    例数
    Cmax
    (μg/mL)
    AUC0-24
    (μg・hr/mL)
    T1/2(β)
    (hr)
    高齢者
    0.25
    6
    17.5±2.5
    25.72±4.62
    1.43±0.19
    非高齢者
    0.25
    6
    18.1±1.9
    20.26±3.48
    0.90±0.08
    注:AUC0-12
    (測定法:bioassay)(平均値±標準偏差)

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈成人〉
  1. 国内第Ⅱ~Ⅲ相試験
    成人の呼吸器感染症及び複雑性尿路感染症患者を対象とした第Ⅱ相用量検討二重盲検試験2試験及び第Ⅲ相実薬対照二重盲検比較試験2試験、各種感染症患者を対象とした第Ⅱ~Ⅲ相オープンラベル試験13試験(計17臨床試験)で、1回0.25~0.5g(力価)を1日2~3回投与した有効性評価対象例は734例であり、有効率は93.2%(684例)であった(表17-1)。
    表17-1 臨床成績
    疾患名
    有効例数/有効性評価対象例数
    有効率
    (%)
    敗血症、感染性心内膜炎
    11/11
    100
    深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎
    19/19
    100
    外科領域感染症
    外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
    20/22
    90.9
    整形外科領域感染症
    骨髄炎、関節炎
    6/6
    呼吸器感染症
    咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染
    299/326
    91.7
    尿路感染症
    複雑性膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)
    198/209
    94.7
    腹腔内感染症
    腹膜炎、腹腔内膿瘍
    33/35
    94.3
    肝・胆道感染症
    胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍
    22/24
    91.7
    産婦人科領域感染症
    子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎
    32/37
    86.5
    眼科領域感染症
    眼窩感染、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、眼内炎(全眼球炎を含む)
    15/15
    100
    耳鼻科領域感染症
    中耳炎
    5/6
    歯科・口腔外科領域感染症
    顎骨周辺の蜂巣炎、顎炎
    24/24
    100
  2. 国内第Ⅲ相オープンラベル試験
    成人の重症・難治性感染症患者を対象とした1回1.0g(力価)1日3回投与による国内第Ⅲ相オープンラベル試験で登録された101例のうち、本剤1回1.0g(力価)1日3回投与が必要となる重症・難治性感染症患者で、かつ本剤単独での有効性評価が可能な症例を選択した結果、有効性評価対象例は73例となり、有効率は75.3%(55例)であった(表17-2),
    表17-2 臨床成績〔1回1.0g(力価)1日3回投与〕
    疾患名
    有効例数/有効性評価対象例数
    有効率(%)
    敗血症
    27/39
    69.2
    肺炎
    15/19
    78.9
    腹膜炎、腹腔内膿瘍
    12/14
    85.7
    手術創の二次感染
    1/1
〈小児〉
  1. 国内第Ⅲ相オープンラベル試験
    小児の一般感染症患者を対象に1回20㎎(力価)/kgを1日2~3回投与、又は化膿性髄膜炎患者を対象に1回30㎎(力価)/kgあるいは40㎎(力価)/kgを1日3回投与した国内第Ⅲ相オープンラベル試験での有効性評価対象例は100例であり、有効率は97.0%(97例)であった(表17-3)。
    表17-3 臨床成績
    疾患名
    有効例数/有効性評価対象例数
    有効率
    (%)
    敗血症
    5/5
    リンパ管・リンパ節炎
    2/2
    呼吸器感染症
    咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、肺炎
    61/63
    96.8
    尿路感染症
    腎盂腎炎
    11/11
    100
    化膿性髄膜炎
    6/6
    耳鼻科領域感染症
    中耳炎
    8/8
    歯科・口腔外科領域感染症
    顎骨周辺の蜂巣炎
    4/5
    注:本剤単剤での評価が可能であった症例は6例中2例であり、他の4例はセフェム系抗生物質との併用療法での評価症例である。

薬効薬理

作用機序
細菌の細胞壁合成酵素であるペニシリン結合蛋白質(PBP)に結合し、細菌の細胞壁合成阻害により抗菌作用を発揮し、その作用は殺菌的である。
黄色ブドウ球菌ではPBP1に、緑膿菌ではPBP2、3に、大腸菌ではPBP2に高い結合親和性を示した(in vitro試験)。
抗菌作用
好気性のグラム陽性菌、グラム陰性菌及び嫌気性菌に対して、幅広い抗菌スペクトルを有し、特に緑膿菌に対しては既存のカルバペネム系抗生物質に比べ強い抗菌力を有する(in vitro試験)。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ドリペネム水和物
(Doripenem Hydrate)(JAN)[日局]
化学名
(4R,5S,6S)-6-[(1R)-1-Hydroxyethyl]-4-methyl-7-oxo-3-{(3S,5S-5-[(sulfamoylamino)methyl]pyrrolidin-3-ylsulfanyl}-1-azabicyclo[3.2.0]hept-2-ene-2-carboxylic acid monohydrate
分子式
C15H24N4O6S2・H2O
分子量
438.52
性状
白色~微黄褐白色の結晶性の粉末である。
水にやや溶けにくく、メタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
光により徐々に微黄褐白色となる。
化学構造式
融点
明確な融点を示さない。(140℃以上で徐々に着色する。)
分配係数
0.002[1-オクタノール/水]
略号
DRPM

取扱い上の注意

〈製剤共通〉
  1. 生理食塩液溶解時の安定性
    0.25g製剤1瓶及び1キットを生理食塩液100mLに溶解したときの含量を表20-1に示す。
    表20-1 生理食塩液溶解時の安定性
    本剤
    配合量
    保存条件
    含量(%)
    8時間保存後
    24時間保存後
    瓶製品
    生理食塩液
    100mL
    25℃
    100
    93
    5℃・遮光
    100
    99
    キット製品
    生理食塩液
    100mL
    25℃
    98
    91
    5℃・遮光
    99
    98
    注:初期値に対する残存率(%)で表示、測定法;HPLC
〈キット点滴静注用0.25g〉
  1. 20.2 製品の品質を保持するため、本品を包んでいる外袋は使用時まで開封しないこと。
  2. 次の場合には使用しないこと。
    • 外袋が破損しているときや溶解液が漏出しているとき。
    • 隔壁の開通前に薬剤が溶解しているとき。
    • 薬剤が変色しているときや、薬剤溶解前に溶解液が着色しているとき。

包装

〈フィニバックス点滴静注用0.25g〉
10瓶[0.25g×10]
〈フィニバックス点滴静注用0.5g〉
10瓶[0.5g×10]
〈フィニバックスキット点滴静注用0.25g〉
10キット[1キット(日局生理食塩液100mLを含む)×10]

主要文献

1
厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
2
社内資料:フィニバックスの配合変化表
3
中島光好ほか:日本化学療法学会雑誌.2005;53:104-123〔200501276〕
4
社内資料:国内小児対象第3相試験(2012/5/25承認、申請資料概要2.7.2.3、2.5.4.3、2.5.4.4)〔202000084〕
5
塩野義製薬集計;荒田次郎ほか:日本化学療法学会雑誌.2005;53:303-312〔200501272〕を含む10文献
6
社内資料:ラットにおける乳汁移行性(2005/7/25承認、申請資料概要2.6.4.4)〔200501112〕
7
山野佳則ほか:日本化学療法学会雑誌.2005;53:92-95〔200501279〕
8
上原慎也ほか:日本化学療法学会雑誌.2005;53:130-135〔200501278〕
9
社内資料:母集団薬物動態解析(2011/4/22承認、申請資料概要2.7.2.3)〔201100103〕
10
社内資料:血液透析患者における薬物動態(2011/4/22承認、申請資料概要2.7.2.2)〔201100104〕
11
社内資料:国内小児対象第3相試験(薬物動態)(2012/5/25承認、申請資料概要2.7.2.2)〔202000083〕
12
中島光好ほか:日本化学療法学会雑誌.2005;53:124-129〔200501277〕
13
塩野義製薬集計;齊藤厚ほか:日本化学療法学会雑誌.2005;53:157-168〔200501261〕を含む17文献
14
社内資料:国内第3相試験(高用量・血液内科)(2011/4/22承認、申請資料概要2.5.4.2、2.5.4.3)〔201100101〕
15
社内資料:国内第3相試験(高用量・血液内科以外)(2011/4/22承認、申請資料概要2.5.4.2、2.5.4.3)〔201100102〕
16
藤村亨滋ほか:日本化学療法学会雑誌.2005;53:57-70〔200501281〕

文献請求先及び問い合わせ先

塩野義製薬株式会社 医薬情報センター
〒541-0045大阪市中央区道修町3丁目1番8号
電話0120-956-734
FAX 06-6202-1541
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大阪市中央区道修町3丁目1番8号

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