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閲覧履歴

デュロテップMTパッチ8.4mg

経皮吸収型 持続性疼痛治療剤

1枚 5592.9円

作成又は改訂年月

**
2021年3月改訂(下線部分)
(第12版)
*
2019年9月改訂

日本標準商品分類番号

878219

日本標準商品分類番号等

2015年12月
2010年1月
1994年3月

薬効分類名

経皮吸収型 持続性疼痛治療剤

承認等

販売名

デュロテップMTパッチ2.1mg

販売名コード

8219700S5026

承認・許可番号

22000AMX01422000
Durotep MT Patch

薬価基準収載年月

2008年6月

販売開始年月

2008年7月

貯法・使用期限等

貯法
室温保存
使用期限
包装に表示

規制区分

劇薬
麻薬
処方箋医薬品
注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

本剤は、フェンタニルをアクリル酸2-エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸2-ヒドロキシエチルコポリマーに溶解、固化し、成形した半透明で角が丸い長方形の経皮吸収型製剤である。本剤には、含量の異なる5製剤があり、単位面積あたりの放出速度はいずれも同一である。
成分・含量(1枚中)
フェンタニル2.1mgを含有
添加物
アクリル酸2-エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸2-ヒドロキシエチルコポリマー(基剤)
ポリエステル/エチレン酢酸ビニル(支持体)
ポリエチレンテレフタレートセパレータ(ライナー)

性状

大きさ(縦×横mm)20.5×26.1
面積(cm25.25
外形断面図(模式図)

販売名

デュロテップMTパッチ4.2mg

販売名コード

8219700S6022

承認・許可番号

22000AMX01423000
Durotep MT Patch

薬価基準収載年月

2008年6月

販売開始年月

2008年7月

貯法・使用期限等

貯法
室温保存
使用期限
包装に表示

規制区分

劇薬
麻薬
処方箋医薬品
注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

本剤は、フェンタニルをアクリル酸2-エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸2-ヒドロキシエチルコポリマーに溶解、固化し、成形した半透明で角が丸い長方形の経皮吸収型製剤である。本剤には、含量の異なる5製剤があり、単位面積あたりの放出速度はいずれも同一である。
成分・含量(1枚中)
フェンタニル4.2mgを含有
添加物
アクリル酸2-エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸2-ヒドロキシエチルコポリマー(基剤)
ポリエステル/エチレン酢酸ビニル(支持体)
ポリエチレンテレフタレートセパレータ(ライナー)

性状

大きさ(縦×横mm)25.4×41.6
面積(cm210.5
外形断面図(模式図)

販売名

デュロテップMTパッチ8.4mg

販売名コード

8219700S7029

承認・許可番号

22000AMX01424000
Durotep MT Patch

薬価基準収載年月

2008年6月

販売開始年月

2008年7月

貯法・使用期限等

貯法
室温保存
使用期限
包装に表示

規制区分

劇薬
麻薬
処方箋医薬品
注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

本剤は、フェンタニルをアクリル酸2-エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸2-ヒドロキシエチルコポリマーに溶解、固化し、成形した半透明で角が丸い長方形の経皮吸収型製剤である。本剤には、含量の異なる5製剤があり、単位面積あたりの放出速度はいずれも同一である。
成分・含量(1枚中)
フェンタニル8.4mgを含有
添加物
アクリル酸2-エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸2-ヒドロキシエチルコポリマー(基剤)
ポリエステル/エチレン酢酸ビニル(支持体)
ポリエチレンテレフタレートセパレータ(ライナー)

性状

大きさ(縦×横mm)60.8×37.8
面積(cm221.0
外形断面図(模式図)

販売名

デュロテップMTパッチ12.6mg

販売名コード

8219700S8025

承認・許可番号

22000AMX01425000
Durotep MT Patch

薬価基準収載年月

2008年6月

販売開始年月

2008年7月

貯法・使用期限等

貯法
室温保存
使用期限
包装に表示

規制区分

劇薬
麻薬
処方箋医薬品
注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

本剤は、フェンタニルをアクリル酸2-エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸2-ヒドロキシエチルコポリマーに溶解、固化し、成形した半透明で角が丸い長方形の経皮吸収型製剤である。本剤には、含量の異なる5製剤があり、単位面積あたりの放出速度はいずれも同一である。
成分・含量(1枚中)
フェンタニル12.6mgを含有
添加物
アクリル酸2-エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸2-ヒドロキシエチルコポリマー(基剤)
ポリエステル/エチレン酢酸ビニル(支持体)
ポリエチレンテレフタレートセパレータ(ライナー)

性状

大きさ(縦×横mm)60.7×55.1
面積(cm231.5
外形断面図(模式図)

販売名

デュロテップMTパッチ16.8mg

販売名コード

8219700S9021

承認・許可番号

22000AMX01426000
Durotep MT Patch

薬価基準収載年月

2008年6月

販売開始年月

2008年7月

貯法・使用期限等

貯法
室温保存
使用期限
包装に表示

規制区分

劇薬
麻薬
処方箋医薬品
注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

本剤は、フェンタニルをアクリル酸2-エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸2-ヒドロキシエチルコポリマーに溶解、固化し、成形した半透明で角が丸い長方形の経皮吸収型製剤である。本剤には、含量の異なる5製剤があり、単位面積あたりの放出速度はいずれも同一である。
成分・含量(1枚中)
フェンタニル16.8mgを含有
添加物
アクリル酸2-エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸2-ヒドロキシエチルコポリマー(基剤)
ポリエステル/エチレン酢酸ビニル(支持体)
ポリエチレンテレフタレートセパレータ(ライナー)

性状

大きさ(縦×横mm)60.7×72.3
面積(cm242.0
外形 断面図(模式図)

一般的名称

フェンタニル経皮吸収型製剤

警告

本剤貼付部位の温度が上昇するとフェンタニルの吸収量が増加し、過量投与になり、死に至るおそれがある。本剤貼付中は、外部熱源への接触、熱い温度での入浴等を避けること。発熱時には患者の状態を十分に観察し、副作用の発現に注意すること。[「重要な基本的注意」の項参照]

禁忌

本剤の成分に対し過敏症のある患者
**ナルメフェン塩酸塩を投与中の患者又は投与中止後1週間以内の患者[「相互作用」の項参照]

効能又は効果

効能又は効果に関連する使用上の注意

本剤は、他のオピオイド鎮痛剤が一定期間投与され、忍容性が確認された患者で、かつオピオイド鎮痛剤の継続的な投与を必要とする癌性疼痛及び慢性疼痛の管理にのみ使用すること。
慢性疼痛の原因となる器質的病変、心理的・社会的要因、依存リスクを含めた包括的な診断を行い、本剤の投与の適否を慎重に判断すること。

効能又は効果/用法及び用量

非オピオイド鎮痛剤及び弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛(ただし、他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限る。)
中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛

用法及び用量

本剤は、オピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する。
通常、成人に対し胸部、腹部、上腕部、大腿部等に貼付し、3日毎(約72時間)に貼り替えて使用する。
初回貼付用量は本剤投与前に使用していたオピオイド鎮痛剤の用法・用量を勘案して、2.1mg(12.5μg/hr)、4.2mg(25μg/hr)、8.4mg(50μg/hr)、12.6mg(75μg/hr)のいずれかの用量を選択する。
その後の貼付用量は患者の症状や状態により適宜増減する。

用法及び用量に関連する使用上の注意

初回貼付用量
初回貼付用量として、デュロテップMTパッチ16.8mg(100μg/hr)は推奨されない(本邦において、初回貼付用量として12.6mg(75μg/hr)を超える使用経験はない)。
初回貼付用量を選択する下記換算表は、経口モルヒネ量90mg/日(坐剤の場合45mg/日、注射の場合30mg/日)、経口オキシコドン量60mg/日、経口コデイン量270mg/日以上、フェンタニル経皮吸収型製剤(1日貼付型製剤)1.7mg(フェンタニル0.6mg/日)に対して本剤4.2mg(25μg/hr;フェンタニル0.6mg/日)へ切り替えるものとして設定している。
なお、初回貼付用量は換算表に基づく適切な用量を選択し、過量投与にならないよう注意すること。
換算表(オピオイド鎮痛剤1日使用量に基づく推奨貼付用量)
[癌性疼痛における切り替え]
注)フェンタニルクエン酸塩経皮吸収型製剤を含まない。
[慢性疼痛における切り替え]
*デュロテップMTパッチ16.8mg(100μg/hr)は、初回貼付用量としては推奨されないが、定常状態における推定平均吸収量は2.4mg/日に相当する。
初回貼付時
他のオピオイド鎮痛剤から本剤に初めて切り替えた場合、初回貼付24時間後までフェンタニルの血中濃度が徐々に上昇するため、鎮痛効果が得られるまで時間を要する。そのため、下記の「使用方法例」を参考に、切り替え前に使用していたオピオイド鎮痛剤の投与を行うことが望ましい。
患者により下記の「使用方法例」では、十分な鎮痛効果が得られない場合がある。患者の状態を観察し、本剤の鎮痛効果が得られるまで、適時オピオイド鎮痛剤の追加投与(レスキュー)により鎮痛をはかること。1回の追加投与量として、本剤の切り替え前に使用していたオピオイド鎮痛剤が経口剤又は坐剤の場合は1日投与量の1/6量を、注射剤の場合は1/12量を目安として投与すること。この場合、速効性のオピオイド鎮痛剤を使用することが望ましい。
[使用方法例]
使用していたオピオイド鎮痛剤の投与回数オピオイド鎮痛剤の使用方法例
1日1回投与:投与12時間後に本剤の貼付を開始する。
1日2〜3回投与:本剤の貼付開始と同時に1回量を投与する。
1日4〜6回投与:本剤の貼付開始と同時及び4〜6時間後に1回量を投与する。
持続投与:本剤の貼付開始後6時間まで継続して持続投与する。
※経皮吸収型製剤を除く。
用量調整と維持
疼痛増強時における処置
本剤貼付中に痛みが増強した場合や疼痛が管理されている患者で突出痛(一時的にあらわれる強い痛み)が発現した場合には、直ちにオピオイド鎮痛剤の追加投与(レスキュー)により鎮痛をはかること。1回の追加投与量として、本剤の切り替え前に使用していたオピオイド鎮痛剤が経口剤又は坐剤の場合は1日投与量の1/6量を、注射剤の場合は1/12量を目安として投与すること。この場合、速効性のオピオイド鎮痛剤を使用することが望ましい。
増量
鎮痛効果が得られるまで各患者毎に用量調整を行うこと。鎮痛効果が十分得られない場合は、追加投与(レスキュー)されたオピオイド鎮痛剤の1日投与量及び疼痛程度を考慮し、2.1mg(12.5μg/hr)から4.2mg(25μg/hr)への増量の場合を除き、貼付用量の25〜50%を目安として貼り替え時に増量する。なお、本剤の1回の貼付用量が50.4mg(300μg/hr)を超える場合は、他の方法を考慮すること。
減量
連用中における急激な減量は、退薬症候があらわれることがあるので行わないこと。副作用等により減量する場合は、十分に観察を行いながら慎重に減量すること。
投与の継続
慢性疼痛患者において、本剤投与開始後4週間を経過してもなお期待する効果が得られない場合は、他の適切な治療への変更を検討すること。また、定期的に症状及び効果を確認し、投与の継続の必要性について検討すること。
投与の中止
本剤の投与を必要としなくなった場合には、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。
本剤の投与を中止し、他のオピオイド鎮痛剤に変更する場合は、本剤剥離後の血中フェンタニル濃度が50%に減少するのに17時間以上かかることから、他のオピオイド鎮痛剤の投与は低用量から開始し、患者の状態を観察しながら適切な鎮痛効果が得られるまで漸増すること。

使用上の注意

慎重投与

慢性肺疾患等の呼吸機能障害のある患者[呼吸抑制を増強するおそれがある。]
喘息患者[気管支収縮を起こすおそれがある。]
徐脈性不整脈のある患者[徐脈を助長させるおそれがある。]
*肝・腎機能障害のある患者[代謝・排泄が遅延し、副作用があらわれやすくなるおそれがある。なお、腎機能障害患者を対象として有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。(「薬物動態」の項参照)]
頭蓋内圧の亢進、意識障害・昏睡、脳腫瘍等の脳に器質的障害のある患者[呼吸抑制を起こすおそれがある。]
40℃以上の発熱が認められる患者[本剤からのフェンタニル放出量の増加により、薬理作用が増強するおそれがある。]
薬物依存の既往歴のある患者[依存性を生じやすい。]
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]

重要な基本的注意

本剤を中等度から高度の癌性疼痛又は慢性疼痛以外の管理に使用しないこと。
本剤の使用開始にあたっては、主な副作用、具体的な使用方法、使用時の注意点、保管方法等を患者等に対して十分に説明し、理解を得た上で使用を開始すること。特に呼吸抑制、意識障害等の症状がみられた場合には速やかに主治医に連絡するよう指導すること。また、本剤使用中に本剤が他者に付着しないよう患者等に指導すること。[「適用上の注意」の項参照]
重篤な呼吸抑制が認められた場合には、本剤を剥離し、呼吸管理を行う。呼吸抑制に対しては麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が有効であるが、麻薬拮抗剤の作用持続時間は本剤より短いので、観察を十分に行い麻薬拮抗剤の繰り返し投与を考慮すること。
他のオピオイド鎮痛剤から本剤への切り替え直後に、悪心、嘔吐、傾眠、浮動性めまい等の副作用が多く認められることがあるため、切り替え時には観察を十分に行い、慎重に投与すること。なお、これらの副作用は経時的に減少する傾向がみられる。
他のオピオイド鎮痛剤から本剤に切り替えた場合には、患者によっては、あくび、悪心、嘔吐、下痢、不安、振戦、悪寒等の退薬症候があらわれることがあるので、患者の状態を観察しながら必要に応じ適切な処置を行うこと。
本剤を増量する場合には、副作用に十分注意すること。
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
また、乱用や誤用により過量投与や死亡に至る可能性があるので、これらを防止するため観察を十分行うこと。
連用中における投与量の急激な減量は、退薬症候があらわれることがあるので行わないこと。
重篤な副作用が発現した患者については、本剤剥離後のフェンタニルの血中動態を考慮し、本剤剥離から最低でも24時間観察を継続すること。
本剤貼付中に発熱又は激しい運動により体温が上昇した場合、本剤貼付部位の温度が上昇しフェンタニル吸収量が増加するため、過量投与になり、死に至るおそれがあるので、患者の状態に注意すること。また、本剤貼付後、貼付部位が電気パッド、電気毛布、加温ウォーターベッド、赤外線灯、集中的な日光浴、サウナ、湯たんぽ等の熱源に接しないようにすること。本剤を貼付中に入浴する場合は、熱い温度での入浴は避けさせるようにすること。
CYP3A4阻害作用を有する薬剤を併用している患者では、血中濃度が高くなる可能性があるので、観察を十分に行い慎重に投与すること。[「相互作用」の項参照]
眠気、めまいが起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
鎮痛剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意すること。

相互作用

本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。

併用禁忌

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
**ナルメフェン塩酸塩(セリンクロ)離脱症状を起こすおそれがある。また、鎮痛作用が減弱するおそれがある。
ナルメフェン塩酸塩を投与中の患者又は投与中止後1週間以内の患者には投与しないこと。[「禁忌」の項参照]
μオピオイド受容体への競合的阻害による。

併用注意

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
中枢神経抑制剤(フェノチアジン系薬剤、ベンゾジアゼピン系薬剤、バルビツール酸系薬剤等)、全身麻酔剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、三環系抗うつ剤、骨格筋弛緩剤、鎮静性抗ヒスタミン剤、アルコール、オピオイド系薬剤呼吸抑制、低血圧、めまい、口渇及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。相加的に中枢神経抑制作用が増強する。
セロトニン作用薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、モノアミン酸化酵素阻害剤等)セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクローヌス等)があらわれるおそれがある。相加的にセロトニン作用が増強するおそれがある。
*CYP3A4阻害作用を有する薬剤(リトナビル、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、アミオダロン、クラリスロマイシン、ジルチアゼム、フルボキサミン等)本剤のAUCの増加、血中半減期の延長が認められたとの報告がある。呼吸抑制等の副作用が発現するおそれがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。肝CYP3A4に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
CYP3A4誘導作用を有する薬剤(リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン等)本剤の血中濃度が低下し、治療効果が減弱するおそれがある。必要に応じて本剤の用量調整を行うこと。CYP3A4誘導作用を有する薬剤の中止後、本剤の血中濃度が上昇し、重篤な呼吸抑制等の副作用が発現するおそれがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。肝CYP3A4に対する誘導作用により、本剤の代謝が促進される。

副作用

副作用等発現状況の概要

癌性疼痛患者
〈本剤承認時〉
癌性疼痛の患者を対象にオピオイド鎮痛剤から本剤2.1mg(12.5μg/hr)に切り替えた臨床試験において、本剤の投与10日までに86例中52例(60.5%)に副作用(臨床検査値異常を含む)がみられた。主なものは傾眠(23.3%)、嘔気(19.8%)、便秘(14.0%)、嘔吐(10.5%)等であった。
〈デュロテップパッチ承認時〉
癌性疼痛の患者を対象にモルヒネ製剤から切り替えた臨床試験では、177例中135例(76.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)がみられた。主なものは傾眠(59.9%)、便秘(52.5%)、嘔気(41.8%)、嘔吐(27.1%)等であった。
〈再審査終了時〉
癌性疼痛の患者を対象としたデュロテップパッチ及びデュロテップMTパッチにおける使用成績調査2518例中443例(17.59%)に副作用(臨床検査値異常を含む)がみられた。主なものは傾眠133例(5.28%)、嘔気126例(5.00%)、便秘107例(4.25%)等であった。
慢性疼痛患者
〈本剤承認時〉
慢性疼痛の患者を対象としたオピオイド鎮痛剤から本剤への切り替え及び長期投与試験において、本剤の投与52週までに128例中121例(94.5%)に副作用(臨床検査値異常を含む)がみられた。主なものは傾眠(61.7%)、嘔気(59.4%)、便秘(50.0%)等であった。
慢性疼痛の患者を対象としたオピオイド鎮痛剤から本剤への切り替え試験において、本剤の投与4週までに58例中46例(79.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)がみられた。主なものは便秘(39.7%)、嘔気(31.0%)、傾眠(19.0%)等であった。
〈再審査終了時〉
慢性疼痛の患者を対象とした本剤における特定使用成績調査499例中262例(52.51%)に副作用(臨床検査値異常を含む)がみられた。主なものは嘔気121例(24.25%)、傾眠112例(22.44%)、便秘91例(18.24%)等であった。

副作用発現頻度については、国内の使用成績調査及び特定使用成績調査の集計に基づき記載した。また、使用成績調査及び特定使用成績調査において認められていない副作用については頻度不明とした。

重大な副作用

依存性
0.1%
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。連用中に投与量の急激な減量ないし中止により退薬症候があらわれることがある。
また、乱用や誤用により過量投与や死亡に至る可能性があるので、これらを防止するため観察を十分行うこと。
呼吸抑制
0.6%
呼吸抑制があらわれることがあるので、無呼吸、呼吸困難、呼吸異常、呼吸緩慢、不規則な呼吸、換気低下等があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が有効である。
意識障害
0.13%
意識レベルの低下、意識消失等の意識障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
ショック、アナフィラキシー
頻度不明
ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
痙攣
頻度不明
間代性、大発作型等の痙攣があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

循環器(1%未満)
動悸、高血圧、頻脈、低血圧
循環器(頻度不明)
徐脈、チアノーゼ
精神神経系(1%以上)
傾眠、めまい
精神神経系(1%未満)
不眠、不穏、せん妄、いらいら感、不安、うつ病、幻覚、健忘、錯乱、頭痛、味覚異常、振戦、激越、多幸症、記憶障害、回転性めまい
精神神経系(頻度不明)
錯感覚、感覚鈍麻、無感情、注意力障害、錐体外路障害
皮膚(1%未満)
貼付部位反応(そう痒感、紅斑、発疹、湿疹、皮膚炎)、そう痒、紅斑、湿疹、皮膚炎(接触性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎を含む)、発疹
皮膚(頻度不明)
貼付部位の小水疱、汗疹
消化器(1%以上)
嘔気、便秘、嘔吐
消化器(1%未満)
下痢、腹痛、イレウス、口渇、口内炎
消化器(頻度不明)
胃部不快感、消化不良、痔核
肝臓(1%未満)
肝機能異常
泌尿器(1%未満)
排尿困難、尿閉
眼障害(1%未満)
霧視
眼障害(頻度不明)
縮瞳、結膜炎、複視
感染症(1%未満)
膀胱炎、鼻咽頭炎
感染症(頻度不明)
帯状疱疹
臨床検査(1%以上)
血中Al-P増加、AST(GOT)増加、ALT(GPT)増加
臨床検査(1%未満)
血中尿素窒素上昇、LDH増加、白血球数増加、γ-GTP増加、血小板数減少、総蛋白減少、体重減少、血中ビリルビン増加、血中カリウム減少
臨床検査(頻度不明)
蛋白尿、尿糖陽性、白血球数減少
その他(1%未満)
倦怠感、食欲減退、薬剤離脱症候群、発熱、貧血、末梢性浮腫、筋痙縮、異常感、発汗、無力症、しゃっくり、筋骨格痛
その他(頻度不明)
性機能不全、勃起不全、疲労、インフルエンザ様疾患、冷感、体温変動感、体熱感、白血球増加症、耳鳴、背部痛、四肢痛、不正子宮出血、胸部不快感、胸痛、悪寒

高齢者への投与

高齢者には副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。[高齢者ではフェンタニルのクリアランスが低下し、血中濃度消失半減期の延長がみられ、若年者に比べ感受性が高いことが示唆されている。]1)

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[フェンタニルクエン酸塩注射液において、分娩時の投与により新生児に呼吸抑制、分娩時を含む妊娠中の投与により胎児に徐脈があらわれたとの報告がある。妊娠中の本剤投与により、新生児に退薬症候がみられることがある。動物実験(ラット静脈内投与試験)で胎児死亡が報告されている。]
授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。[ヒトで母乳中へ移行することが報告されている。]

小児等への投与

小児等に対する安全性は確立されていない(使用経験がない)。

過量投与

症状
フェンタニルの過量投与時の症状として、薬理作用の増強により重篤な換気低下を示す。
処置
過量投与時には以下の治療を行うことが望ましい。
換気低下が起きたら、直ちに本剤を剥離し、患者をゆり動かしたり、話しかけたりして目をさまさせておく。
麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)の投与を行う。患者に退薬症候又は麻薬拮抗剤の副作用が発現しないよう慎重に投与する。なお、麻薬拮抗剤の作用持続時間は本剤の作用時間より短いので、患者のモニタリングを行うか又は患者の反応に応じて、初回投与後は注入速度を調節しながら持続静注する。
臨床的に処置可能な状況であれば、患者の気道を確保し、酸素吸入し、呼吸を補助又は管理する。必要があれば咽頭エアウェイ又は気管内チューブを使用する。これらにより、適切な呼吸管理を行う。
適切な体温の維持と水分摂取を行う。
重度かつ持続的な低血圧が続けば、循環血液量減少の可能性があるため、適切な輸液療法を行う。

適用上の注意

交付時
オピオイド鎮痛剤が投与されていた患者であることを確認した上で本剤を交付すること。
包装袋を開封せず交付すること。
本剤の使用開始にあたっては、患者等に対して具体的な使用方法、使用時の注意点、保管方法等(下記の「2.貼付部位」、「3.貼付時」、「4.貼付期間中」、「5.保管方法」の項参照)を患者向けの説明書を用いるなどの方法によって指導すること。
患者等に対して、本剤を指示された目的以外に使用してはならないことを指導すること。
患者等に対して、本剤を他人へ譲渡してはならないことを指導すること。
貼付部位
体毛のない部位に貼付することが望ましいが、体毛のある部位に貼付する場合は、創傷しないようにハサミを用いて除毛すること。本剤の吸収に影響を及ぼすため、カミソリや除毛剤等は使用しないこと。
貼付部位の皮膚を拭い、清潔にしてから本剤を貼付すること。清潔にする場合には、本剤の吸収に影響を及ぼすため、石鹸、アルコール、ローション等は使用しないこと。また、貼付部位の水分は十分に取り除くこと。
皮膚刺激を避けるため、毎回貼付部位を変えることが望ましい。
活動性皮膚疾患、創傷面等がみられる部位及び放射線照射部位は避けて貼付すること。
貼付時
本剤を使用するまでは包装袋を開封せず、開封後は速やかに貼付すること。
包装袋は手で破り開封し、本剤を取り出すこと。手で破ることが困難な場合は、ハサミ等で包装袋の端に切り込みを入れ、そこから手で破り本剤を取り出すこと。
本剤をハサミ等で切って使用しないこと。また、傷ついたパッチは使用しないこと。
本剤を使用する際には、ライナーを剥がして使用すること。
貼付後、約30秒間手のひらでしっかり押え、本剤の縁の部分が皮膚面に完全に接着するようにすること。
貼付期間中
本剤が他者に付着しないよう注意すること。本剤の他者への付着に気付いたときは、直ちに剥離し、付着部位を水で洗い流し、異常が認められた場合には受診すること。[海外において、オピオイド貼付剤を使用している患者と他者(特に小児)が同じ寝具で就寝するなど身体が接触した際に、誤って他者に付着し有害事象が発現したとの報告がある。]
本剤が皮膚から一部剥離した場合は、再度手で押しつけて剥離部を固定するが、粘着力が弱くなった場合はパッチを剥離し、直ちに同用量の新たなパッチに貼り替えて3日間貼付すること。
使用済み製剤は粘着面を内側にして貼り合わせた後、安全に処分すること。未使用製剤は病院又は薬局に返却すること。
保管方法
本剤を子供の手の届かない、高温にならない所に保管すること。

薬物動態

血中濃度
健康成人における血中動態(日本人)2)
健康成人に本剤16.8mg(100μg/hr)1枚あるいは2.1mg(12.5μg/hr)8枚をクロスオーバー法にて72時間単回貼付した。血清中フェンタニル濃度はいずれも類似した推移を示し、貼付後30〜36時間にCmaxに達した後72時間まで有効血清中濃度を維持した。
反復貼付時の血中動態(外国人)3)
健康成人に本剤16.8mg(100μg/hr)を反復貼付(1回72時間×4回、合計288時間)したときの4回目貼付時におけるフェンタニルの曝露量は、1回目貼付時と同程度であり、フェンタニルの血中動態は反復貼付においても大きく変化しなかった。
用量と血中濃度との関係(外国人)4)
健康成人に本剤4.2mg(25μg/hr)、8.4mg(50μg/hr)、12.6mg(75μg/hr)及び16.8mg(100μg/hr)を72時間単回貼付したときのCmaxと貼付用量は、正の相関(p<0.0001)を示した。

なお、日本人癌性疼痛患者に本剤2.1mg(12.5μg/hr)を初回貼付用量とし、以後用量調整(最高8.4mg(50μg/hr))したときの血清中フェンタニル濃度は、用量依存的に増加した5)
高齢者における血中動態(外国人)6)
健康な高齢者(65〜81歳)に本剤16.8mg(100μg/hr)1枚を72時間単回貼付したとき、健康成人(18〜33歳)に比して、貼付期間(72時間)にわたって血清中フェンタニル濃度は若干低く推移し、Cmaxは成人群で2.69ng/mLであったのに対して2.48ng/mL、AUC(0→120)は164.1ng・hr/mLに対して153.3ng・hr/mLであった。t1/2の約10時間の延長が認められた。
肝障害患者における血中動態(外国人:デュロテップパッチの成績)7)
肝硬変合併術後疼痛患者(39〜66歳)にデュロテップパッチ5mg(50μg/hr)1枚を72時間単回貼付したとき、対照群(30〜65歳)に比して、Cmaxは1.35倍、AUC(0→144)は1.73倍高く、Tmax及びt1/2にほとんど相違は認められなかった。
血中動態に対する温度の影響(外国人)8)
健康成人に本剤4.2mg(25μg/hr)を36時間単回貼付したときの薬物動態に及ぼす皮膚温の影響を検討した。本剤貼付後0〜10時間に電気パッドにて皮膚を加温したとき、フェンタニルのAUC(0→10)は非加温群と比べて約2倍増加したが、貼付後26〜36時間に加温したときのAUC(26→36)への影響は小さかった。
分布
組織への分布(参考:ラット)9)
ラットに3H-フェンタニルを皮下投与したとき、膀胱内尿及び小腸(十二指腸)内容物に高い放射能が認められた。肺、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、鼻粘膜、生殖器及び骨髄など多くの組織に放射能が認められた。
胎児移行性(参考:ラット)10)
妊娠ラットに3H-フェンタニルを皮下投与したとき、胎児内放射能濃度は母動物の血液中放射能濃度の約1.5〜2.0倍高く推移した。
乳汁移行性(外国人)11)
分娩時にフェンタニルクエン酸塩を静脈内投与したとき、フェンタニルの乳汁移行が確認された。
血漿蛋白結合率12)
84.4%(in vitro、平衡透析法、10ng/mL)
代謝(参考:ラット10)in vitro13)
フェンタニルは肝臓で主に代謝され、その主代謝物の一つはピペリジン環の酸化的N-脱アルキル化により生じるノルフェンタニルである。ヒト肝ミクロソームを用いた検討により、ノルフェンタニルへの代謝にはCYP3A4が関与していることが報告されている。
排泄(外国人)14)
健康成人に3H-フェンタニルを静脈内投与したとき、72時間までに投与量の76±3%が尿中に排泄され、そのほとんどが代謝物であり、未変化体は投与量の6.4±1.2%であった。糞中には投与量の1.2±0.3%が未変化体として、7.8±1.0%が代謝物として排泄された。

薬物動態の表

表1
投与量
(貼付用量)
Tmax
(hr)
Cmax
(ng/mL)
t1/2
(hr)
AUC(0→120)
(ng・hr/mL)
AUC
(ng・hr/mL)
16.8mg
(100μg/hr)×1枚
(n=40)
30.8±12.23.31±1.3421.4±5.8注)189.5±58.7202.0±61.1
2.1mg
(12.5μg/hr)×8枚
(n=40)
36.8±17.82.96±1.1022.9±7.7180.9±52.6195.3±56.3
平均±標準偏差
注)n=36
表2
 Tmax
(hr)
Cmax
(ng/mL)
AUC(0→120)
(ng・hr/mL)
AUC
(ng・hr/mL)
t1/2
(hr)
高齢者(n=21)49.7±21.42.48±1.60153.3±89.7190.1±11034.4±14.1注)
成人(n=27)35.1±17.12.69±0.66164.1±36.7177.8±41.823.9±9.8
平均±標準偏差
注)n=19
表3
 Tmax
(hr)
Cmax
(ng/mL)
AUC(0→144)
(ng・hr/mL)
t1/2
(hr)
肝硬変患者(n=9)40±171.52±0.70123.0±71.919.8±10.2
対照群(n=8)33±51.13±0.5171.0±28.720.6±5.7
平均±標準偏差
表4
 C10注1)
(ng/mL)
AUC(0→10)
(ng・hr/mL)
AUC(26→36)
(ng・hr/mL)
AUC
(ng・hr/mL)
皮膚温(℃)
10(hr)
皮膚温(℃)
36(hr)
非加温群
(4.2mg(25μg/hr))(n=20)
0.379±0.271.26±1.125.06±1.8432.3±13.132.7±1.4232.8±0.81
加温群
(4.2mg(25μg/hr)+加温)(n=20)
0.559±0.252.18±1.105.91±2.0234.5±14.335.5±1.3436.4±0.66
注2)(加温群/非加温群、%)161220115103
平均±標準偏差
注1)本剤貼付後10時間の血清中フェンタニル濃度
注2)最小二乗平均比

臨床成績

癌性疼痛患者を対象とした臨床試験
本剤の臨床試験
日本人癌性疼痛患者でオピオイド鎮痛剤(経口モルヒネ換算量として45mg/日未満のモルヒネ製剤、30mg/日未満のオキシコドン経口剤又は0.3mg/日未満のフェンタニル注射剤)を投与されている患者(目標症例数:85例)を対象に、本剤の初回貼付用量(2.1mg(12.5μg/hr))へ切り替え、1〜3回(3〜9日間)貼付したところ、主要評価項目である治療期終了(中止)日の患者による総合評価において「満足・不満のどちらでもない」以上と評価した患者の割合は89.4%(76/85例)であった5)
デュロテップパッチの臨床試験
モルヒネ製剤からデュロテップパッチへ切り替えた癌性疼痛患者174例に対する臨床成績は以下のとおりである15)、16)
第I相/前期第II相臨床試験では、デュロテップパッチを1〜3回(3〜9日間)貼付した。後期第II相臨床試験では、デュロテップパッチの3回(9日間)貼付による「切り替え貼付試験」に引き続き、継続貼付の希望があった患者を対象として最大20回(60日間)貼付による「継続貼付試験」を実施した。
切り替え貼付試験においては、モルヒネ製剤の使用量に応じてデュロテップパッチの初回貼付用量が選択されたが、3回目貼付日までに43.2%(63/146例)の患者で増量が行われた。また、デュロテップパッチ貼付中にモルヒネ製剤の追加投与(レスキュー)が行われた患者は、1回目貼付日では81.9%(131/160例)、2回目貼付日では56.4%(84/149例)、3回目貼付日では55.8%(77/138例)であった。
デュロテップパッチの使用成績調査結果
使用成績調査1665例における有効率は、83.1%(1384/1665例)であった。各オピオイド製剤から切り替えた際の有効率は表7のとおりである(第9回安全性定期報告時)。
投与開始時と最終判定時との疼痛スコアを比較し、1段階以上悪化した症例及び「3:重度」又は「2:中等度」から改善しなかった症例以外を有効例とした。
慢性疼痛患者を対象とした臨床試験
III相臨床試験17)
慢性疼痛患者を対象としたオピオイド鎮痛剤から本剤への切り替え貼付試験において、「安静時疼痛強度VAS変化量が+15mm以下」及び「レスキュー・ドーズ投与回数が1日2回以下であり、投与回数の差が1日あたり1回以下」である患者を疼痛コントロールが達成された患者と定義し評価した結果、4週後の疼痛コントロール達成率は86.3%(44/51例)であった。
また、4週後の「満足・不満のどちらでもない」以上と評価した患者の割合は90.0%(45/50例)であった。
長期投与試験18)
慢性疼痛患者を対象としたオピオイド鎮痛剤から本剤への切り替え貼付試験において、52週後の「満足・不満のどちらでもない」以上と評価した患者の割合は75.2%(79/105例)であった。

臨床成績の表

表5
「非常に満足」及び「満足」69.4%(59/85例)
「満足・不満のどちらでもない」20.0%(17/85例)
「不満」及び「非常に不満」10.6%(9/85例)
表6
試験有効率
第I相/前期第II相臨床試験61.5%(8/13例)
後期第II相臨床試験(切り替え貼付試験)
a群:モルヒネ投与時に疼痛管理が良好
b群:モルヒネ投与時に疼痛管理が不良
61.5%(99/161例)
68.9%(91/132例)
27.6%(8/29例)
後期第II相臨床試験(継続貼付試験)
a群:モルヒネ投与時に疼痛管理が良好
b群:モルヒネ投与時に疼痛管理が不良
83.3%(80/96例)
86.1%(68/79例)
70.6%(12/17例)
a群:モルヒネ投与時の痛みの強さが0〜10の11段階評価で0〜3であった群
b群:モルヒネ投与時の痛みの強さが0〜10の11段階評価で4〜10であった群
表7
モルヒネ製剤オキシコドン経口剤フェンタニル注射剤
83.6%(1027/1228例)78.0%(156/200例)75.0%(15/20例)
表8
疼痛コントロール達成率86.3%(44/51例)
「VASの変化量が+15mm以下」98.0%(50/51例)
「レスキュー・ドーズ投与回数が1日2回以下であり、投与回数の差が1日あたり1回以下」88.2%(45/51例)
表9
「非常に満足」及び「満足」62.0%(31/50例)
「満足・不満のどちらでもない」28.0%(14/50例)
「不満」及び「非常に不満」10.0%(5/50例)
表10
「非常に満足」及び「満足」35.2%(37/105例)
「満足・不満のどちらでもない」40.0%(42/105例)
「不満」及び「非常に不満」24.8%(26/105例)

薬効薬理

鎮痛作用19)、20)、21)
機械的侵害刺激法の一つであるマウス尾根部のピンチによる発痛に対して、フェンタニル(皮下投与)は鎮痛作用を示し、ED50は0.07mg/kgであった。モルヒネ硫酸塩水和物(皮下投与)のED50は9mg/kgであった。
化学的侵害刺激法の一つであるラットのブラジキニン発痛法において、フェンタニルは皮下投与15分後に最大作用を示し、そのED50は0.010mg/kgであった。フェンタニルの鎮痛活性は、モルヒネ硫酸塩水和物(皮下投与後30〜60分にED50が2〜3mg/kg)に比べて、約200倍強い効力比を示した。
電気的侵害刺激法のウサギ歯髄刺激誘発脳波覚醒反応試験において、デュロテップパッチ(2.5mg(25μg/hr))は1回の貼付で3〜72時間まで持続的な鎮痛作用を示した。
神経障害性疼痛モデルの一つであるスナネズミの絞扼性神経損傷モデルにおいて、フェンタニルは0.04mg/kg以上の皮下投与で冷的アロディニアを有意に抑制した。
作用機序(in vitro22)、23)
受容体結合試験の結果、フェンタニルはヒト・クローン化μ(ミュー)オピオイド受容体に対してKi=1.02nmol/L、δ(デルタ)オピオイド受容体に対してKi=1530nmol/L及びκ(カッパ)オピオイド受容体に対してKi=1080nmol/Lの親和性を示した。また、モルモット全脳膜組織を用いた検討では、フェンタニルはμオピオイド受容体に対してKi=2.11nmol/L、δオピオイド受容体に対してKi=109nmol/L及びκオピオイド受容体に対してKi=308nmol/Lの親和性を示した。これらの結果から、フェンタニルはμオピオイド受容体に対して選択的に高い親和性を示した。
したがって、フェンタニルはμオピオイド受容体を介してアゴニストとして作用し、強力な鎮痛作用を示すものと考えられている。

有効成分に関する理化学的知見

一般名
フェンタニル(JAN)、fentanyl(JAN、INN)
化学名
N-(1-phenethylpiperidin-4-yl)-N-phenylpropanamide
分子式
C22H28N2O
分子量
336.47
化学構造式
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末である。
溶解性
メタノール、エタノール(95)に極めて溶けやすく、アセトニトリルに溶けやすく、0.1mol/L塩酸試液にやや溶けにくく、0.01mol/L硫酸試液に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
融点
85〜87℃
分配係数
logP=2.96(1-オクタノール/pH7.4緩衝溶液)

承認条件

慢性疼痛の診断、治療に精通した医師によってのみ処方・使用されるとともに、本剤のリスク等についても十分に管理・説明できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ用いられ、それら薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。

包装

デュロテップMTパッチ2.1mg(12.5μg/hr):5枚(1枚×5)
デュロテップMTパッチ4.2mg(25μg/hr):5枚(1枚×5)
デュロテップMTパッチ8.4mg(50μg/hr):5枚(1枚×5)
デュロテップMTパッチ12.6mg(75μg/hr):5枚(1枚×5)
デュロテップMTパッチ16.8mg(100μg/hr):5枚(1枚×5)

主要文献及び文献請求先

主要文献

1
Bentley, J. B., et al.:Anesth. Analg., 61, 968, 1982
2
Thipphawong, J.,:日本人におけるJNS005の薬物動態の検討(社内資料)
3
Albrecht, D. F.,:JNS005の単回及び反復貼付時の薬物動態の検討(社内資料)
4
Albrecht, D. F.,:JNS005の用量相関性の検討(社内資料)
5
Miyazaki, T., et al.:Clin. Drug Invest., 28, 313, 2008
6
Albrecht, D. F.,:JNS005の民族間及び年齢層間での薬物動態の比較(社内資料)
7
Levron, J. C., et al.:フェンタニルパッチの肝障害患者における薬物動態の検討(社内資料)
8
Jones, D.,:JNS005の薬物動態に対する温度の影響の検討(社内資料)
9
フェンタニルの薬物動態試験(社内資料)
10
大塚宏之, 他:薬理と治療, 29, 865, 2001
11
Leuschen, M. P.,:Clin. Pharmacy, 9, 336, 1990
12
Meuldermans, W. E. G., et al.:Arch. Int. Pharmacodyn., 257, 4, 1982
13
Feierman D. E.,:Drug Metab. Dispos., 24, 932, 1996
14
McClain, D. A., et al.:Clin. Pharmacol. Ther., 28, 106, 1980
15
水口公信, 他:医薬ジャーナル, 37, 2389, 2001
16
水口公信, 他:医薬ジャーナル, 37, 2403, 2001
17
鈴木康正:JNS005の慢性疼痛に対する第III相臨床試験(社内資料)
18
鈴木康正:JNS005の慢性難治性疼痛に対する臨床試験(社内資料)
19
フェンタニルの一般薬理作用(社内資料)
20
塩崎静男, 他:薬理と治療, 29, 849, 2001
21
Vissers, K., et al.:Anesth. Analg., 101, 457, 2005
22
フェンタニルのオピオイド受容体に対する親和性(社内資料)
23
Maguire, P., et al.:Eur. J. Pharmacol., 213, 219, 1992

文献請求先

主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
ヤンセンファーマ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2
0120-183-275
www.janssenpro.jp

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売元
ヤンセンファーマ株式会社
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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