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閲覧履歴

ポプスカイン0.75%注150mg/20mL

長時間作用性局所麻酔剤

1管 961円

添付文書番号

1214407A2020_1_08

企業コード

730119

作成又は改訂年月

2024年1月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

871214

薬効分類名

長時間作用性局所麻酔剤

承認等

販売名

ポプスカイン0.75%注75mg/10mL

販売名コード

1214407A2020

販売名英字表記

POPSCAINE 0.75% inj. 75mg/10mL

販売名ひらがな

ぽぷすかいん0.75%ちゅう75mg/10mL

承認番号等

承認番号
22000AMX01587

販売開始年月

2008年8月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

ポプスカイン0.75%注150mg/20mL

販売名コード

1214407A3027

販売名英字表記

POPSCAINE 0.75% inj. 150mg/20mL

販売名ひらがな

ぽぷすかいん0.75%ちゅう150mg/20mL

承認番号等

承認番号
22000AMX01588

販売開始年月

2008年8月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

レボブピバカイン塩酸塩注射剤

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 大量出血やショック状態の患者[過度の血圧低下が起こることがある。]
  2. 注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある。]
  3. 敗血症の患者[敗血症性の髄膜炎を生じるおそれがある。]
  4. 本剤の成分又はアミド型局所麻酔剤に対し過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

ポプスカイン0.75%注75mg/10mL
有効成分
1mL中 レボブピバカイン塩酸塩  8.45mg
レボブピバカインとして  7.5mg(0.75%)
添加剤
1mL中 塩化ナトリウム9.0mg、pH調節剤
ポプスカイン0.75%注150mg/20mL
有効成分
1mL中 レボブピバカイン塩酸塩  8.45mg
レボブピバカインとして  7.5mg(0.75%)
添加剤
1mL中 塩化ナトリウム9.0mg、pH調節剤

製剤の性状

ポプスカイン0.75%注75mg/10mL
剤形注射剤(ポリアンプル)
pH4.0~6.0
浸透圧比1.0~1.2(生理食塩液に対する比)
性状
無色澄明の液
ポプスカイン0.75%注150mg/20mL
剤形注射剤(ポリアンプル)
pH4.0~6.0
浸透圧比1.0~1.2(生理食塩液に対する比)
性状
無色澄明の液

効能又は効果

硬膜外麻酔

用法及び用量

通常、成人に1回20mL(レボブピバカインとして150mg)までを硬膜外腔に投与する。
なお、期待する痛覚遮断域、手術部位、年齢、身長、体重、全身状態等により適宜減量する。

用法及び用量に関連する注意

  1. 本剤に血管収縮剤(アドレナリン)を添加しても、作用持続時間の延長は認められない。
  2. 本剤を全身麻酔と併用する際にはできる限り少ない投与で開始すること。

重要な基本的注意

  1. まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておくこと。なお、事前の静脈路確保が望ましい。
  2. 本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、以下の点に留意すること。
    1. 患者のバイタルサイン(血圧、心拍数、呼吸数等)及び全身状態の観察を十分に行うこと。また、麻酔が消失するまで観察を行うことが望ましい。なお、術中は経皮的に動脈血酸素飽和度の測定(パルスオキシメーター等)を行うことが望ましい。
    2. できるだけ必要最少量にとどめること。追加投与及び持続投与時には過量投与時の発現症状に注意すること。
    3. 注射の速度はできるだけ遅くすること。
    4. 注射針が、血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。血管内へ誤投与された場合、中毒症状が発現することがあり、また、くも膜下腔へ誤投与された場合、全脊椎麻酔となることがある。
    5. 試験的に注入(test dose)し、注射針又はカテーテルが適切に留置されていることを確認すること。
    6. 麻酔範囲が予期した以上に広がることにより、過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制を来すことがあるので、麻酔範囲に注意すること。
    7. 前投薬や術中に投与した鎮静剤、鎮痛剤等による呼吸抑制が発現することがあるので、これらの薬剤を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい。なお、高齢者、小児、全身状態が不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと。
  3. 注射針又はカテーテルが適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 中枢神経系疾患:髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者及び脊髄・脊椎に腫瘍又は結核等のある患者
    硬膜外麻酔により病状が悪化するおそれがある。
  2. 血液凝固障害や抗凝血剤投与中の患者
    やむを得ず投与する場合は観察を十分に行うこと。出血しやすく、血腫形成や脊髄への障害を起こすことがある。
  3. 脊柱に著明な変形のある患者
    やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行うこと。脊髄や神経根の損傷のおそれがあり、また麻酔範囲の予測も困難である。
  4. 腹部腫瘤のある患者
    投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと。仰臥位性低血圧を起こすことがあり、麻酔範囲が広がりやすい。麻酔中はさらに増悪することがある。
  5. 重篤な高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者
    患者の全身状態の観察を十分に行うこと。血圧低下や病状の悪化が起こりやすい。
  6. 全身状態が不良な患者
    生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある。
  7. 心刺激伝導障害のある患者
    症状を悪化させることがある。

腎機能障害患者

  1. 重篤な腎機能障害のある患者
    中毒症状が発現しやすくなる。

肝機能障害患者

  1. 重篤な肝機能障害のある患者
    中毒症状が発現しやすくなる。

妊婦

  1. ブロック実施時には血管内への誤投与がおこる可能性があり、その結果、心停止に至るおそれがある。
    特に妊娠患者に誤って本剤を急激に静脈内投与した時、不整脈、心循環停止及び死亡を生じるリスクが高いことが報告されていることから、妊婦への投与は可能な限り避けること。また特に帝王切開などの産科手術及び子宮頸管傍ブロックへは使用しないこと。
  2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
  3. 妊娠後期の患者には、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与すること。妊娠末期は、仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい。麻酔中はさらに増悪することがある。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)において、乳汁移行性が認められている。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等慎重に投与すること。一般に麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下している。

相互作用

本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4及びCYP1A2で代謝される。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
CYP3A4阻害剤(ケトコナゾール、エリスロマイシン、リトナビル、サキナビル、ベラパミル塩酸塩等)及びCYP1A2阻害剤(シメチジン、フルボキサミン、キノロン系抗菌剤等)
本剤の血中濃度が上昇することがある。
本剤の代謝には主にCYP3A4及びCYP1A2が関与しているため、CYP3A4及びCYP1A2阻害剤との併用で、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。
ジゴキシン
レボブピバカインによる中毒症状が発現しやすくなる。
ラットを用いた研究で、ジゴキシンとの併用により、本剤のラセミ体であるブピバカインの中毒閾値が低下したとの報告がある。
アミド型局所麻酔剤
中毒症状が相加的に起こるおそれがある。
他の局所麻酔剤との併用で中毒症状が相加的に起こることが考えられる。
クラスⅢ抗不整脈剤(アミオダロン等)
心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと。
作用が増強することが考えられる。
催眠鎮静剤(デクスメデトミジン塩酸塩等)、全身麻酔剤
鎮静・麻酔・鎮痛作用が増強し、血圧低下、心拍数低下、呼吸数低下などの症状があらわれるおそれがあるので、併用する場合には投与速度を減速するなど慎重に投与すること。抜管後に他の鎮静剤、鎮痛剤などと併用する場合は、鎮静効果が相加的に増強するおそれがあるので、本剤あるいは他の鎮静剤、鎮痛剤の投与量を減量するなどの注意が必要である。
相互に作用(鎮静・麻酔・鎮痛作用、循環動態への作用)を増強すると考えられる。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. ショック(頻度不明)
    徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こすおそれがある。
  2. 意識障害、振戦、痙攣(いずれも頻度不明)
    意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがある。
  3. 異常感覚、知覚・運動障害(いずれも頻度不明)
    注射針又はカテーテルの留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性の異常感覚が発現することがある。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的な異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害、硬膜外麻酔及び術後鎮痛では膀胱直腸障害等の神経学的疾患があらわれることがある。

その他の副作用

5%以上
1%以上5%未満
1%未満
頻度不明
循環器系
血圧低下(45.3%)
徐脈、心室性期外収縮
洞性徐脈、上室性頻脈、ST低下
狭心症、期外収縮、頻脈、高血圧、固有心室調律
呼吸器系
鼻閉、呼吸抑制
喘息、呼吸困難、低換気、低酸素症、呼吸障害、肺出血
中枢・末梢系
感覚鈍麻
頭痛、頭部不快感、運動機能障害、運動障害
浮動性めまい、錯感覚、麻痺、感覚障害、傾眠、昏迷、失神、振戦、運動低下、脳浮腫、脳症
消化器系
悪心、嘔吐
腹痛
便秘、下痢、便失禁、吐血
血管系
出血
潮紅、静脈炎、末梢性虚血、総蛋白減少
泌尿器系
排尿困難、膀胱膨満
乏尿、尿失禁、尿閉、尿流量減少、アルブミン尿、血尿、無尿
皮膚
そう痒症、多汗症、発疹、紅斑性皮疹、水疱性皮膚炎
血液・リンパ系
白血球数減少、低カリウム血症、血液量減少
精神神経系
悪寒
発熱、激越、不安、無感情、錯乱状態、幻覚
筋骨格筋系
背部痛、筋痙縮、筋力低下、四肢痛
肝臓
AST/ALT/γ-GTPの増加
ALPの増加
高ビリルビン血症
腎臓
尿検査異常
その他
処置疼痛、胸痛、注射部位疼痛、疼痛、創部分泌、偶発的針穿刺

過量投与

  1. 症状
    局所麻酔剤の過量投与や血管内誤投与又は非常に急速な吸収等による血中濃度の上昇に伴い、中毒が発現する。特に血管内誤投与となった場合には、数分以内に発現することがある。その症状は、主に中枢神経系及び心血管系の症状としてあらわれる。
    また、腕神経叢ブロックや坐骨神経ブロック等の伝達麻酔や硬膜外麻酔で、蘇生術が困難及び死亡に至った報告がある。
    1. 中枢神経系の症状
      初期症状として視覚障害、聴覚障害、口周囲の知覚麻痺、眩暈、ふらつき、不安、刺痛感、感覚異常があらわれる。また、構音障害、筋硬直、攣縮等があらわれる。症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがある。より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある。
    2. 心血管系の症状
      血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系の抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。
      これらの心血管系の症状は、鎮静下又は全身麻酔下において、中枢神経系症状を伴わずに発生することがある。
  2. 処置
    振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。

適用上の注意

薬剤投与時の注意
局所静脈内麻酔(Bier’s block)として投与しないこと。
薬剤投与後の注意
アンプルを複数の患者に使用しないこと。また、残液は廃棄すること。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
球後麻酔、眼球周囲麻酔に際し、類薬(リドカイン塩酸塩等)で持続性の眼筋運動障害が発現することが報告されている。本邦における本剤での球後麻酔、眼球周囲麻酔に対する使用経験はない。

薬物動態

血中濃度

  1. 硬膜外投与
    レボブピバカイン0.5% 15mL(75mg)、0.5% 20mL(100mg)、0.75% 10mL(75mg)、0.75% 15mL(112.5mg)及び0.75% 20mL(150mg)を下腹部あるいは下肢手術を受ける患者に硬膜外腔注1)へ投与した時、血漿中未変化体濃度は約0.3~0.5時間後に最高に達し、約9~16時間の半減期で消失した(図1及び表1),
    図1 硬膜外投与時のレボブピバカイン血漿中未変化体濃度(平均値±標準偏差)
    表1 硬膜外投与時におけるレボブピバカインの薬物動態パラメータ
    投与群
    0.5%
    15mL
    0.5%
    20mL
    0.75%
    10mL
    0.75%
    15mL
    0.75%
    20mL
    評価例数
    10
    7
    8
    8
    7
    Cmax
    (μg/mL)
    0.868±0.323
    0.881±0.311
    0.722±0.162
    0.987±0.195
    1.055±0.435
    Tmax
    (h)
    0.325±0.237
    0.357±0.134
    0.344±0.129
    0.500±0.327
    0.429±0.278
    T1/2
    (h)
    11.2±5.9
    11.8±5.6
    9.7±6.2
    10.0±5.9
    16.2±12.9
    CL
    (L/h)
    14.0±4.2
    15.1±3.8
    15.7±5.4
    17.3±3.7
    17.9±8.3
    Vd
    (L)
    205±77
    255±114
    201±96
    232±91
    312±113
    AUC0-∞
    (μg・h/mL)
    5.90±2.10
    6.92±1.52
    5.21±1.52
    6.77±1.48
    10.71±6.18
    平均値±標準偏差
  2. 静脈内投与
    健康成人男子及び男性健康高齢者にレボブピバカイン0.25% 8mL(20mg)を1mL/minの投与速度で前腕部皮下静脈内注2)に投与した時、血漿中未変化体濃度は速やかに低下し、最高血中濃度は、それぞれ、1.27及び1.29μg/mL、消失半減期は2.1及び2.5時間、クリアランスは543.9及び380.0mL/minであり高齢者で排泄が遅延する可能性が示唆された,
    評価例数
    Cmax
    (μg/mL)
    T1/2
    (h)
    CL
    (mL/min)
    健康成人男子
    6
    1.27
    2.1
    543.9
    男性健康高齢者
    6
    1.29
    2.5
    380.0
    平均値

分布

in vitroにおける14C-レボブピバカインの血漿蛋白結合率は、0.1μg/mLの濃度では94.8%であり、10μg/mLの濃度では74.5%と高濃度で血漿蛋白結合の飽和がみられた。また、精製蛋白に対する結合率では、ヒト血清アルブミン、ヒトα1-酸性糖蛋白及びヒトグロブリンに対する結合率は0.1μg/mLでそれぞれ49.7%、82.0%及び11.1%、10μg/mLでそれぞれ53.7%、55.0%及び8.3%であり、ヒトα1-酸性糖蛋白において蛋白結合の飽和が認められた。

代謝

本剤は主として肝代謝酵素CYP3A4及びCYP1A2で代謝を受け、CYP3A4はデスブチル体、CYP1A2は3-ヒドロキシ体への代謝に関与することが示されている。
健康成人男子及び男性健康高齢者にレボブピバカイン0.25% 8mL(20mg)を1mL/minの投与速度で前腕部皮下静脈内注2)に投与したところ、静脈内投与後の尿中主要代謝物としてデスブチル体、3-ヒドロキシ体及び4-ヒドロキシ体が検出された,

排泄

健康成人男子及び男性健康高齢者にレボブピバカイン0.25% 8mL(20mg)を1mL/minの投与速度で静脈内投与注2)した結果、投与終了後48時間までに、未変化体、代謝物であるデスブチル体、3-ヒドロキシ体(抱合体を含む)及び4-ヒドロキシ体(抱合体を含む)が、健康成人男子でそれぞれ0.18%、3.01%、5.18%及び0.25%が、男性健康高齢者でそれぞれ0.26%、3.37%、6.38%及び0.27%が尿中に排泄された,
評価例数
未変化体
デスブチル体
3'-OH体
4'-OH体
健康成人男子
6
0.18%
3.01%
5.18%
0.25%
男性健康高齢者
6
0.26%
3.37%
6.38%
0.27%
注1)0.5%製剤に対し承認されている用法は、伝達麻酔(目標の神経あるいは神経叢近傍に投与)である。
注2)本剤の承認された用法は、硬膜外麻酔(硬膜外腔投与)であり、0.25%製剤に対し承認されている用法は、アンプル及びシリンジ製剤で術後鎮痛(硬膜外腔投与)及び伝達麻酔(目標の神経あるいは神経叢近傍に投与)、バッグ製剤で術後鎮痛(硬膜外腔投与)である。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 国内第Ⅲ相試験
    硬膜外麻酔による下腹部あるいは下肢手術患者を対象にレボブピバカイン0.75% 20mL(150mg)の痛覚神経遮断効果についてロピバカイン0.75% 20mL(150mg)を対照薬として用いた二重盲検比較試験(穿刺部位:L3-4)を実施した。その結果、主要評価項目であるPPSにおける第10胸椎(Th10)の痛覚神経遮断の作用持続時間については、本剤群が389.1±84.6分、ロピバカイン群が315.0±108.1分であり、本剤群のロピバカイン群に対する非劣性が検証された(片側p<0.001、△上乗せによる2標本t検定、△=60分)。両群間の差とその95%信頼区間は74.1分[16.0, 132.1]であった。また、痛覚神経遮断の推移(無痛域の広がり)は、両投与群とも投与後30分までは経時的に広がり、投与後3時間以降で狭くなる推移を示した。運動神経遮断の推移は、有意差は認められなかったものの、レボブピバカイン投与群で遮断作用が強い(遮断時間が長い)傾向が認められた。痛覚神経遮断の推移及び運動神経遮断の程度の推移を図1及び図2に示した。
    副作用発現頻度は、レボブピバカイン群で73.3%(22/30例)であった。主な副作用は、血圧低下63.3%(19/30例)、嘔吐10.0%(3/30例)及び徐脈6.7%(2/30例)であった,
    図1 痛覚神経遮断:最高位・最低位の推移(平均値±標準偏差)
    図2 運動神経遮断:Bromage Scaleの推移(平均値±標準偏差)
  2. 海外第Ⅲ相試験(アドレナリンとの併用)
    外国人背部手術患者117例(各群39例)を対象に二重盲検下で0.5%レボブピバカイン単独(LEVO Plain群)、0.5%レボブピバカイン+アドレナリン(1:400,000)(LEVO400群)又は0.5%レボブピバカイン+アドレナリン(1:200,000)(LEVO200群)を15~20mL硬膜外腔に投与し麻酔効果について比較した。ITT集団における知覚神経ブロック及び運動神経ブロックの作用持続時間は下表のとおりであり、いずれにおいても3群間で統計学的に有意な差は認められなかった。
    副作用発現頻度は、LEVO Plain群で38.5%(15/39例)、LEVO400群で51.3%(20/39例)及びLEVO200群で46.2%(18/39例)であった。主な副作用は低血圧であり、その発現頻度はLEVO Plain群で17.9%(7/39例)、LEVO400群で35.9%(14/39例)及びLEVO200群で38.5%(15/39例)であった。
    感覚神経遮断の持続時間(ITT集団)
    投与群
    評価症例数
    平均値±標準偏差
    (min)
    最小値
    (min)
    最大値
    (min)
    投与群比較
    P値a)
    レボブピバカイン単独
    35
    186.3±66.9
    90.0
    375.0
    レボブピバカイン単独vsレボブピバカイン+アドレナリン(1:200,000)
    0.294
    レボブピバカイン+アドレナリン(1:400,000)
    36
    200.3±65.5
    75.0
    360.0
    レボブピバカイン単独vsレボブピバカイン+アドレナリン(1:400,000)
    0.365
    レボブピバカイン+アドレナリン(1:200,000)
    37
    202.4±62.2
    105.0
    375.0
    レボブピバカイン+アドレナリン(1:400,000)vsレボブピバカイン+アドレナリン(1:200,000)
    0.890
    a)ANOVA Bonferroni-Holm procedure
    運動神経遮断の作用持続時間(ITT集団)
    投与群
    評価症例数
    平均値±標準偏差
    (min)
    最小値
    (min)
    最大値
    (min)
    投与群比較
    P値a)
    レボブピバカイン単独
    13
    204.4±63.9
    135.0
    345.0
    レボブピバカイン単独vsレボブピバカイン+アドレナリン(1:200,000)
    0.890
    レボブピバカイン+アドレナリン(1:400,000)
    19
    238.6±109.9
    122.0
    635.0
    レボブピバカイン単独vsレボブピバカイン+アドレナリン(1:400,000)
    0.323
    レボブピバカイン+アドレナリン(1:200,000)
    18
    206.1±62.6
    130.0
    345.0
    レボブピバカイン+アドレナリン(1:400,000)vsレボブピバカイン+アドレナリン(1:200,000)
    0.353
    a)ANOVA Bonferroni-Holm procedure

薬効薬理

作用機序
神経膜のナトリウムチャネルをブロックし、神経における活動電位の伝導を可逆的に抑制し、知覚神経及び運動神経を遮断することで局所麻酔作用を発現する。
局所麻酔作用
  1. ラットへの硬膜外投与(0.25、0.5、0.75及び1.0%)により、痛覚神経遮断作用が認められた。その強度及び持続性は、ブピバカインと同程度であり、その効力比は約1であった。また、0.25%における運動神経遮断作用の持続時間はブピバカインと比べ短く、その効力比は0.78であった。
  2. ラットへの硬膜外投与(0.25、0.5及び1.0%)により、痛覚神経遮断作用が認められた。その強度及び持続性は、ロピバカインの約2倍であった。また、1.0%における運動神経遮断作用の持続時間はロピバカインの約1.5倍であった。
中枢神経系に対する作用
イヌに静脈内投与(2mg/kg/分)したときの痙攣誘発用量は、レボブピバカインで5.34mg/kg、ブピバカインで4.23mg/kg、ロピバカインで6.43mg/kgであり、差は認められなかった。
心循環系に対する作用
イヌにレボブピバカイン、ブピバカイン及びロピバカインを痙攣誘発量の2倍量(それぞれ10.68mg/kg、8.46mg/kg、12.86mg/kg)を静脈内投与し痙攣を誘発させた。その後の痙攣に対する処置(ペントバルビタール投与及び酸素吸入)により、レボブピバカインでは不整脈の発現は認められなかったが、ブピバカインでは6例中2例で発現(内1例死亡)、ロピバカインでは6例中3例で発現(内2例死亡)した。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
レボブピバカイン塩酸塩(Levobupivacaine Hydrochloride)(INN:levobupivacaine)
化学名
(2S)-1-Butyl-N-(2,6-dimethylphenyl)piperidine-2-carboxamide monohydrochloride
分子式
C18H28N2O・HCl
分子量
324.89
性状
白色の粉末で、水又はエタノール(99.5)にやや溶けやすい。
化学構造式
融点
約258℃

包装

〈ポプスカイン0.75%注75mg/10mL〉
10mL[10アンプル(ポリエチレンアンプル)]
〈ポプスカイン0.75%注150mg/20mL〉
20mL[10アンプル(ポリエチレンアンプル)]

主要文献

1
硬膜外投与時の薬物動態(ポプスカイン0.75%注75mg/10mL他:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.2.2 2)(2)①)
2
硬膜外麻酔における第Ⅱ相臨床試験(ポプスカイン0.75%注75mg/10mL他:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.6 14))
3
薬物動態試験-健康成人男子における単回静脈内投与-(ポプスカイン0.75%注75mg/10mL他:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.6 8))
4
薬物動態試験-高齢者における単回静脈内投与-(ポプスカイン0.75%注75mg/10mL他:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.6 9))
5
血漿蛋白結合(ポプスカイン0.75%注75mg/10mL他:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.4.4 2))
6
チトクロムP450による代謝(ポプスカイン0.75%注75mg/10mL他:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.4.5 3))
7
硬膜外麻酔における第Ⅲ相臨床試験(ポプスカイン0.75%注75mg/10mL他:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.6 15))
8
弓削 孟文 他:麻酔と蘇生, 2008;44(Suppl.):135-149[E2080066]
9
硬膜外投与による麻酔効果(アドレナリンとの併用)(ポプスカイン0.75%注75mg/10mL他:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.6 26))
10
ラットへの硬膜外投与における知覚および運動神経遮断作用の塩酸ブピバカインとの比較(ポプスカイン0.75%注75mg/10mL他:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.2.2 2)添付資料4.2.1.1-2)
11
ラットへの硬膜外投与における知覚および運動神経遮断作用の塩酸ロピバカインとの比較(ポプスカイン0.75%注75mg/10mL他:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.2.2 2)添付資料4.2.1.1-3)
12
イヌにおける痙攣誘発用量の類薬(塩酸ブピバカイン、塩酸ロピバカイン)との比較(ポプスカイン0.75%注75mg/10mL他:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.6.8 6)添付資料4.2.3.7.7-5)
13
イヌにおける痙攣誘発に対する蘇生処置の影響の類薬(塩酸ブピバカイン、塩酸ロピバカイン)との比較(ポプスカイン0.75%注75mg/10mL他:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.6.8 6)添付資料4.2.3.7.7-6)

文献請求先及び問い合わせ先

丸石製薬株式会社 学術情報部
〒538-0042 大阪市鶴見区今津中2-4-2
TEL. 0120-014-561

製造販売業者等

製造販売元
丸石製薬株式会社
大阪市鶴見区今津中2-4-2

(参考情報)

〈本剤の容器(ポリエチレンアンプル)の開封方法〉
手順1
Aの部分を片手でつまみ、首の部分に溜まっている薬液を軽く振って落とす。
手順2
ポリエチレンアンプル本体のBの部分を片手で持ち、もう片方の手でCの部分を矢印の方向にねじって取り外す。このとき、薬液が飛び出すおそれがあるので強く握らない。

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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