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閲覧履歴

スーテントカプセル12.5mg

抗悪性腫瘍剤キナーゼ阻害剤

1カプセル 7265.6円

添付文書番号

4291018M1029_3_03

企業コード

672212

作成又は改訂年月

2019年10月改訂
(第2版)

日本標準商品分類番号

874291

薬効分類名

抗悪性腫瘍剤キナーゼ阻害剤

承認等

販売名

スーテントカプセル12.5mg

販売名コード

4291018M1029

販売名英字表記

SUTENT Capsule

販売名ひらがな

すーてんとかぷせる12.5mg

承認番号等

承認番号
22000AMX01605

販売開始年月

2008年6月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

スニチニブリンゴ酸塩

警告

  1. 本剤の投与にあたっては、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
  2. 心不全等の重篤な心障害があらわれ、死亡に至った例も報告されているので、必ず本剤投与開始前には、患者の心機能を確認すること。また、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い患者の状態(左室駆出率の変動を含む)を十分に観察すること。
  3. 可逆性後白質脳症症候群(RPLS)があらわれることがある。RPLSが疑われた場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

組成・性状

組成

スーテントカプセル12.5mg
有効成分
1カプセル中
スニチニブリンゴ酸塩  16.7mg
スニチニブとして  12.5mg
添加剤
D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム
(カプセル本体)ラウリル硫酸ナトリウム、三二酸化鉄、酸化チタン

製剤の性状

スーテントカプセル12.5mg
識別コードPfizer STN 12.5mg
外形(mm)
色調等
キャップ:濃赤褐色
ボディ:濃赤褐色

効能又は効果

  • イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍
  • 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
  • 膵神経内分泌腫瘍

効能又は効果に関連する注意

〈イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌〉
  1. 本剤の術前及び術後補助化学療法としての有効性及び安全性は確立していない。
〈膵神経内分泌腫瘍〉
  1. 臨床試験に組み入れられた患者の病理組織型等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

用法及び用量

〈イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌〉
通常、成人にはスニチニブとして1日1回50mgを4週間連日経口投与し、その後2週間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
〈膵神経内分泌腫瘍〉
通常、成人にはスニチニブとして1日1回37.5mgを経口投与する。なお、患者の状態により、適宜増減するが、1日1回50mgまで増量できる。

用法及び用量に関連する注意

〈効能共通〉
  1. サイトカイン製剤を含む他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
  2. 副作用により、本剤を休薬、減量、中止する場合には、以下の基準を考慮すること。減量して投与を継続する場合には、副作用の症状、重症度等に応じて、12.5mg(1減量レベル)ずつ減量すること。
    本剤の副作用が発現した場合の休薬減量基準
    副作用
    グレード2
    グレード3
    グレード4
    血液系
    同一投与量を継続
    副作用がグレード2以下又はベースラインに回復するまで休薬する。回復後は休薬前と同一投与量で投与を再開できる。
    副作用がグレード2以下又はベースラインに回復するまで休薬する。回復後は休薬前の投与量を1レベル下げて投与を再開する。
    非血液系
    (心臓系を除く)
    同一投与量を継続
    副作用がグレード1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。回復後は主治医の判断により休薬前と同一投与量又は投与量を1レベル下げて投与を再開する。
    副作用がグレード1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。回復後は休薬前の投与量を1レベル下げて投与を再開する。もしくは主治医の判断で投与を中止する。
    心臓系
    ・左室駆出率低下
    ・心室性不整脈
    副作用がグレード1以下に回復するまで休薬する。回復後は休薬前の投与量を1レベル下げて投与を再開する。
    副作用がグレード1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。回復後は休薬前の投与量を1レベル下げて投与を再開する。
    投与を中止する。
    ただし、以下の副作用が発現した場合は、同一用量での投与の継続が可能である。
    〈イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌〉
    • グレード3~4の血清リパーゼ増加又はアミラーゼ増加で、臨床的又は画像診断上確認された膵炎の徴候がない場合。ただし、臨床症状、臨床検査又は画像上のモニタリングを、回復するまで頻度を上げて行う。
    • 臨床症状を伴わないグレード4の高尿酸血症及びグレード3の低リン血症
    • グレード3のリンパ球減少
    〈膵神経内分泌腫瘍〉
    • 臨床症状を伴わないグレード4の高尿酸血症及びグレード3の低リン血症
    • 対処療法によりコントロール可能なグレード3又は4の悪心、嘔吐又は下痢
    • グレード3又は4のリンパ球減少
〈膵神経内分泌腫瘍〉
  1. 本剤を一定期間投与しても、重篤な有害事象がなく、十分な効果が見られない場合は、用法・用量に従って本剤を増量することができる。

重要な基本的注意

  1. 骨髄抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、各投与コース開始前を含め定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
  2. 高血圧があらわれることがあるので、投与期間中は定期的に血圧を測定し、必要に応じて適切な処置を行うこと。
  3. 腫瘍変性・縮小に伴う出血があらわれることがあるので、十分に観察を行い、定期的検査において血液検査(ヘモグロビン)等を実施すること。
  4. 脳転移を有する患者で脳出血があらわれることがあるので、脳転移を疑う症状がなく、本剤の投与が開始された患者においても、患者を慎重に観察し、神経学的異常が疑われた場合には脳転移及び脳出血の可能性を考慮して、本剤の投与中止を含めて適切な措置を行うこと。
  5. 心不全、左室駆出率低下があらわれることがあるので、以下の点に注意すること。
    1. 本剤の投与開始前に心疾患のリスクについて、左室駆出率の測定等により確認すること。心疾患のリスクのある患者に本剤を投与する場合には、うっ血性心不全の徴候及び症状について綿密な観察を行うこと。
    2. 左室駆出率の低下が認められた症例の多くは、第2コースまでに発現が認められていることから、投与初期から経胸壁心エコー図検査等の心機能検査を適宜行うこと。
  6. 血清アミラーゼや血清リパーゼの上昇があらわれることがあるため、本剤投与中は定期的に膵酵素を含む検査を行うこと。
  7. 甲状腺機能障害(低下症又は亢進症)があらわれることがあるので、本剤の投与開始前に甲状腺機能の検査を行うこと。
  8. 肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
  9. 毛髪又は皮膚の色素脱失又は変色があらわれることがあるので、本剤を投与する場合にはその内容を適切に患者に説明すること。また、皮膚の乾燥、肥厚又はひび割れ、手掌及び足底の水疱又は発疹などがあらわれることがあるので、十分に観察を行い異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。必要に応じて患者に皮膚科受診等を指導すること。
  10. 創傷治癒を遅らせる可能性があるため、手術時は投与を中断することが望ましい。手術後の投与再開は患者の状態に応じて判断すること。
  11. めまい、傾眠、意識消失等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
  12. ネフローゼ症候群があらわれることがあるので、本剤投与開始前に尿検査を行うことが望ましい。本剤投与中も、尿蛋白等の観察を十分に行うこと。
  13. 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. イマチニブに忍容性のない消化管間質腫瘍患者
    慎重に経過観察を行い、副作用発現に注意すること。本剤に対する忍容性がないおそれがある。
  2. 骨髄抑制のある患者
    骨髄抑制が増悪するおそれがある。
  3. 高血圧の患者
    高血圧が悪化するおそれがある。
  4. QT間隔延長又はその既往歴のある患者
    治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。QT間隔延長が悪化もしくは再発するおそれがある。
  5. 不整脈につながる心疾患、徐脈もしくは電解質異常の既往歴のある患者
    Torsade de pointesを含む心室性不整脈が起こるおそれがある。
  6. 心疾患又はその既往歴のある患者
    心疾患が悪化もしくは再発するおそれがある。
  7. 脳血管障害又はその既往歴のある患者
    脳血管障害が悪化もしくは再発するおそれがある。
  8. 肺塞栓症又はその既往歴のある患者
    肺塞栓症が悪化もしくは再発するおそれがある。
  9. 肺に腫瘍のある患者
    生命を脅かす重症の喀血又は肺出血が起こるおそれがある。
  10. 脳転移を有する患者
    脳出血又はてんかん様発作があらわれるおそれがある。
  11. 甲状腺機能障害のある患者
    投与開始前に適切な処置を行うこと。症状が悪化するおそれがある。

肝機能障害患者

  1. 重度の肝障害(Child-Pugh分類C)のある患者
    これらの患者を対象とした臨床試験は実施していない。

生殖能を有する者

妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット及びウサギ)で、胚・胎児死亡及び奇形の発生が報告されている。

授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、スニチニブ又はその代謝物が乳汁中へ移行することが報告されている。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

注意して投与すること。一般に高齢者では、生理機能が低下していることが多い。

相互作用

本剤は主にCYP3A4で代謝される。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
CYP3A4阻害剤
アゾール系抗真菌剤
(イトラコナゾール等)
マクロライド系抗生物質
(クラリスロマイシン等)
HIVプロテアーゼ阻害剤
(リトナビル等)
グレープフルーツジュース
本剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、これらの薬剤等については可能な限り他の類薬に変更する、又は当該薬剤を休薬する等を考慮し、併用は可能な限り避けること。やむを得ず併用する場合には、本剤の用量を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
これらの薬剤等がCYP3A4の代謝活性を阻害するため、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。
CYP3A4誘導剤
デキサメタゾン
フェニトイン
カルバマゼピン
リファンピシン
フェノバルビタール等
セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の血中濃度が低下する可能性があり、本剤の有効性が減弱する可能性があることを考慮すること。これらの薬剤等については可能な限り他の類薬に変更する、又は当該薬剤を休薬する等を考慮し、併用は可能な限り避けること。
これらの薬剤等がCYP3A4の代謝活性を誘導するため、本剤の血漿中濃度が低下する可能性がある。
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
イミプラミン塩酸塩
ピモジド等
QT間隔延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)等の重篤な副作用を起こすおそれがある。
本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により作用が増強するおそれがある。
抗不整脈薬
キニジン硫酸塩水和物
プロカインアミド塩酸塩
ジソピラミド
ソタロール塩酸塩等
QT間隔延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)等の重篤な副作用を起こすおそれがある。
本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により作用が増強するおそれがある。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 骨髄抑制
    汎血球減少(0.1%)、血小板減少(26.4%)、白血球減少(19.6%)、好中球減少(27.3%)、貧血(22.2%)があらわれることがある。
  2. 感染症
    好中球減少の有無にかかわらず肺炎、敗血症、壊死性筋膜炎等の重篤な感染症(頻度不明)があらわれることがあり、死亡例も報告されている。
  3. 高血圧(30.0%)
    管理できない重症の高血圧が認められた場合は、休薬すること。
  4. 動脈解離(頻度不明)
    大動脈解離を含む動脈解離があらわれることがある。
  5. 出血
    鼻出血(14.4%)、皮下出血(4.0%)、口腔内出血(3.1%)、性器出血(1.3%)、喀血(1.2%)、結膜出血(1.0%)、腫瘍出血(1.1%)、消化管出血(4.5%)、脳出血(0.3%)があらわれることがある。
  6. 消化管穿孔
    腫瘍の急激な壊死・縮小をきたし、消化管穿孔(0.2%)又は消化管瘻(頻度不明)があらわれることがある。また、消化管穿孔については、腫瘍の急激な壊死・縮小を伴わず発現した例も報告されている。
  7. QT間隔延長(1.1%)、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)(0.3%)
  8. 心不全(1.9%)、左室駆出率低下(11.6%)
    心不全の症状が認められた場合は、投与を中止すること。左室駆出率が50%未満でかつベースラインから20%を超えて低下した場合は、休薬又は減量すること。
  9. 肺塞栓症(0.9%)、深部静脈血栓症(0.8%)
  10. 血栓性微小血管症(頻度不明)
    破砕赤血球を伴う貧血、血小板減少、腎機能障害等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  11. 一過性脳虚血発作(0.3%)、脳梗塞(0.2%)
  12. 播種性血管内凝固症候群(DIC)(頻度不明)
    血小板数、血清FDP値、血漿フィブリノゲン濃度等の血液検査に異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
  13. てんかん様発作(0.2%)、可逆性後白質脳症症候群(0.2%)
    てんかん様発作及びRPLSに一致する徴候や症状(高血圧(伴わない例もある)、頭痛、覚醒低下、精神機能変化、及び皮質盲を含めた視力消失など)が認められた場合は、本剤の投与を中止し、高血圧管理を含め、適切な処置を行うこと。
  14. 急性膵炎(0.8%)
    腹痛等の膵炎を示唆する臨床症状や膵酵素上昇が持続する場合には画像診断等を行い、本剤の投与中止を含めて適切な措置を行うこと。
  15. 甲状腺機能障害
    甲状腺機能低下症(14.4%)、甲状腺機能亢進症(0.3%)があらわれることがある。本剤投与中に甲状腺機能障害を示唆する症状が認められた場合は、甲状腺機能の検査を行うこと。なお、まれに甲状腺機能亢進に引き続き、甲状腺機能低下を認める症例が報告されている。
  16. 肝不全、肝機能障害、黄疸
    肝不全(0.1%)、AST、ALT、γ-GTP上昇を伴う肝機能障害(10.0%)、血中ビリルビンの増加(4.6%)、黄疸(0.9%)があらわれることがある。
  17. 急性胆嚢炎(頻度不明)
    無石胆嚢炎を含む急性胆嚢炎があらわれることがある。
  18. 間質性肺炎(0.2%)
  19. 急性腎障害(1.6%)
  20. ネフローゼ症候群(0.5%)
  21. 横紋筋融解症(頻度不明)、ミオパシー(0.1%)
    筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には、投与を中止すること。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
  22. 副腎機能不全(0.3%)
  23. 腫瘍崩壊症候群(0.2%)
    異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。
  24. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、多形紅斑(頻度不明)

その他の副作用

10%以上
1%以上~10%未満
1%未満
頻度不明
感染症
上気道炎、ウイルス感染、真菌感染、毛包炎
尿路感染、蜂巣炎、麦粒腫、爪囲炎、肺炎、耳部感染、気管支炎、歯瘻、感染性腸炎
口腔感染
血液
リンパ球数減少
好酸球数増加、単球数減少、血中エリスロポエチン増加
内分泌
TSH増加
TSH減少、エストラジオール増加、甲状腺炎、遊離T3減少
代謝
食欲不振(37.4)
リパーゼ増加、高アミラーゼ血症、脱水、低アルブミン血症、低リン酸血症、高尿酸血症、低カリウム血症、低カルシウム血症、低蛋白血症、低ナトリウム血症、高血糖、高カリウム血症、低血糖症、高カルシウム血症
低マグネシウム血症、高ナトリウム血症、低クロール血症、高コレステロール血症、高脂血症、高リン酸塩血症、アルカローシス、テタニー、血中トリグリセリド増加、糖尿病悪化、グリコヘモグロビン増加、血中アミラーゼ減少
精神系
不眠症、抑うつ気分
不安
神経系
味覚異常(37.5)、頭痛(17.1)
めまい、ニューロパシー、味覚消失、しびれ感、記憶障害、振戦
平衡障害、意識消失、回転性めまい、傾眠、認知障害、思考力低下
錯感覚、知覚過敏、嗜眠
流涙増加、結膜炎、霧視、視覚障害
眼乾燥、眼脂、眼瞼炎、光視症、睫毛変色、黄斑浮腫、深径覚の変化、白内障、涙腺刺激症状、眼の異物感
眼球浮腫
耳鳴、耳介腫脹
心血管系
ほてり
徐脈、動悸、心筋梗塞、心嚢液貯留、頻脈、心筋症、心房細動、上室性不整脈
呼吸器
呼吸困難、鼻炎、咳嗽、発声障害、胸水、鼻乾燥、鼻痛
しゃっくり、湿性咳嗽、低酸素症、鼻浮腫、一酸化炭素拡散能減少、努力呼気量減少、肺水腫
消化器
下痢(55.5)、悪心(46.8)、口内炎(39.5)、嘔吐(29.0)、消化不良(26.9)、腹痛(16.2)、便秘(13.0)、舌炎(11.5)
口内乾燥、逆流性食道炎、肛門直腸障害[肛門炎、肛門潰瘍等]、口唇炎、歯肉炎、腹部膨満、腹部不快感、痔核、嚥下障害、胃炎、腹水、おくび、口唇乾燥、口のしびれ感、歯周炎
胃腸炎、変色便、胃腸障害、口腔内浮腫、痔瘻、歯痛、唾液分泌低下、歯肉萎縮、胃酸過多、齲歯
鼓腸、消化管潰瘍、食道炎
肝胆道系
脂肪肝
皮膚
皮膚変色(32.4)、手足症候群(31.2)、発疹(26.5)、毛髪変色(17.2)、皮膚乾燥(15.6)、顔面浮腫(13.8)、紅斑(10.5)、脱毛症(10.4)
皮膚剥脱、そう痒症、水疱、皮膚炎、ざ瘡、爪の異常、過角化、多汗症、湿疹、爪変色、皮膚障害、紫斑、皮膚疼痛、蕁麻疹
皮膚色素脱失、毛髪色素脱失、皮下結節、皮膚びらん、硬結、被角血管腫、爪甲脱落症
皮膚病変、壊疽性膿皮症
筋骨格系
筋骨格痛(19.0)
関節痛、筋痛、筋痙縮、筋力低下、骨痛
関節腫脹、筋硬直、関節炎、鼡径部痛、筋緊張
腎臓
血中クレアチニン増加、着色尿、蛋白尿、血尿、BUN増加、頻尿、排尿困難
腎機能障害、血中クレアチン増加、血中クレアチニン減少、水腎症、膿尿
生殖器
性器潰瘍、月経過多、不規則月経、月経遅延
その他
疲労(54.6)、粘膜炎(19.9)、浮腫(16.3)、無力症(15.5)
体重減少、発熱、LDH増加、悪寒、CK増加、ALP増加、倦怠感、胸痛、疼痛、体重増加、熱感
胸部不快感、CRP増加、創合併症、口渇、創傷治癒遅延、粘膜乾燥、握力低下、異常感、血管拡張、PO2低下、血胸、血中二酸化炭素増加
過敏症

適用上の注意

薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
本剤投与後に顎骨壊死が発現したとの報告があり、多くはビスホスホネート系製剤を投与中あるいは投与経験がある患者であった。また、本剤を含む血管新生阻害薬とビスホスホネート系製剤を併用時に顎骨壊死の発現が増加する可能性が報告されている。
非臨床試験に基づく情報
  1. 成長板が閉鎖していないサルを用いた反復投与毒性試験において、骨端軟骨の異形成が認められた。本所見の頻度及び程度は用量依存的であった。
  2. ラット及びサルを用いた反復投与毒性試験において、副腎皮質のうっ血・出血(サル)及び壊死(ラット)が認められた。
  3. 反復投与毒性試験(ラット及びサル)において雌雄の生殖器官への影響が認められた。
  4. 6ヵ月がん原性試験(ヘミ接合体rasH2トランスジェニックマウス)において、胃粘膜上皮細胞の過形成(25mg/kg/day以上投与群)、胃・十二指腸の癌(50mg/kg/day投与群)が認められた。また、脾臓及び子宮の血管肉腫の発生頻度の増加が認められた(雌25mg/kg/day以上投与群)。2年間がん原性試験(SD系ラット)において、副腎髄質の褐色細胞腫及び過形成の発生頻度の増加が認められた(雄3mg/kg/day投与群、1年間以上投与後)。また、十二指腸のブルンネル腺癌(雌1mg/kg/day以上投与群と雄3mg/kg/day投与群)及び腺胃の粘液細胞の過形成(雄3mg/kg/day投与群)が認められた。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    健康成人男性12例に本剤50mgを単回経口投与した時、スニチニブは緩徐に吸収され、最高血漿中濃度(Cmax)到達時間(tmax)は7.5時間(中央値)であった。スニチニブ及び活性代謝物(N-脱エチル体)のCmax(平均値)はそれぞれ33.4ng/mL及び7.32ng/mLであり、血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-∞)はそれぞれ1396ng·h/mL及び692ng·h/mLであった。また、スニチニブ及びN-脱エチル体の消失半減期(平均値)はそれぞれ49.5時間及び75.3時間であった。
  2. 反復投与
    〈イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍〉
    消化管間質腫瘍患者9例に本剤25mg注)又は50mgを1日1回反復経口投与したとき、投与1日目及び28日目におけるスニチニブ及びN-脱エチル体のCmax及びAUC0-24のいずれも用量にほぼ比例して増加した。スニチニブ及びN-脱エチル体の血漿中濃度はそれぞれ投与7~14日目及び14~21日目までに定常状態に達し、28日目におけるAUC0-24はそれぞれ初回投与の約4倍及び11倍であった。
    表1.日本人消化管間質腫瘍患者9例に反復投与したときの薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)
    投与日
    投与量
    (mg)
    スニチニブ
    N-脱エチル体
    Cmax
    (ng/mL)
    AUC0-24
    (ng・h/mL)
    tmaxa)
    (h)
    Cmax
    (ng/mL)
    AUC0-24
    (ng・h/mL)
    tmaxa)
    (h)
    1日目
    25(3例)
    50(6例)
    12.1±4.9
    22.8±6.4
    199±89
    374±69
    6(4,8)
    7(6,24)
    1.96±1.27
    4.13±0.93
    30.9±20.6
    70.0±14.4
    6(4,8)
    9(6,24)
    28日目
    25(3例)
    50(6例)
    39.5±25.0
    69.3±18.9
    858±600
    1406±364
    10(6,10)
    6(1,24)
    15.2±10.2
    38.8±16.0
    324±223
    772±358
    4(2,8)
    2.5(0,48)
    a)中央値(範囲)
    図1.日本人消化管間質腫瘍患者に本剤25mg注)(3例)及び50mg(6例)を反復投与したときの1日目及び28日目におけるスニチニブ及びN-脱エチル体の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
    〈膵神経内分泌腫瘍〉
    膵神経内分泌腫瘍患者に本剤37.5mgを1日1回反復経口投与したとき、投与13~16日目におけるスニチニブ及びN-脱エチル体の血漿中トラフ濃度(10例、平均値±標準偏差)はそれぞれ53.9±17.6ng/mL及び23.7±7.0ng/mLであった。

吸収

健康成人16例に空腹時あるいは食後に本剤50mgを単回経口投与したとき、スニチニブの薬物動態に対する食事の影響はみられなかった(外国人データ)。

分布

In vitroにおけるスニチニブ及びN-脱エチル体(100~4000ng/mL)のヒト血漿蛋白結合率はそれぞれ約95%及び90%であった。

代謝

In vitroの試験において、本剤は主にCYP3A4によってN-脱エチル体に代謝され、N-脱エチル体も主にCYP3A4により代謝されることが示唆されている。日本人消化管間質腫瘍患者に本剤25mg注)及び50mgを反復投与したとき、N-脱エチル体のAUC0-24値はスニチニブの48.5%であった,

排泄

健康成人男性6例に[14C]-標識スニチニブ50mgを単回経口投与したとき、投与後21日目までに投与放射能の61%が糞中、16%が尿中に排泄された。また、血漿、尿及び糞中にスニチニブ及びN-脱エチル体が主な成分として検出された(外国人データ)。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害を有する被験者における薬物動態
    本剤50mgを重度腎機能障害(クレアチニンクリアランス<30mL/min)あるいは血液透析を要する末期腎不全被験者(各8例)に単回投与したとき、重度腎機能障害被験者では、スニチニブ及びN-脱エチル体のCmax及びAUC0-∞は、健康被験者(8例、クレアチニンクリアランス>80mL/min)とほぼ同様であった。末期腎不全被験者では、血液透析によりスニチニブ及びN-脱エチル体が除去されることはほとんどなかったが、健康被験者と比べ、スニチニブのCmax及びAUC0-∞はそれぞれ38%及び47%低下、N-脱エチル体はそれぞれ30%及び31%低下した(外国人データ)。
    表2.健康被験者及び腎機能障害を有する被験者に本剤50mgを単回投与したときの薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)
    投与群
    スニチニブ
    N-脱エチル体
    Cmax
    (ng/mL)
    AUC0-∞
    (ng・h/mL)
    tmaxb)
    (h)
    Cmax
    (ng/mL)
    AUC0-∞
    (ng·h/mL)
    tmaxb)
    (h)
    健康被験者(8例)
    26.1±6.5
    1917± 535
    7(6,12)
    5.7±1.3
    770±106
    6(6,12)
    重度腎機能障害(8例)
    24.6±9.7
    1815±1093
    8(6,12)
    4.7±1.7
    629±262
    6(4,12)
    末期腎不全(8例)
    16.1±3.1
    1012± 288
    7(6,12)
    4.1±1.2
    535±117
    6(4,36)
    b)中央値(範囲)
  2. 肝機能障害を有する被験者における薬物動態
    本剤50mgを軽度及び中等度(Child-Pugh分類A及びB)の肝機能障害を有する被験者(各8例)に単回投与したとき、スニチニブ及びN-脱エチル体のCmax及びAUC0-∞は、健康被験者(7例)とほぼ同様であった(外国人データ)。

薬物相互作用

  1. ケトコナゾール
    健康成人男性26例に、本剤10mg注)をケトコナゾール(錠剤及び注射剤は国内未承認)(400mg、1日1回7日間投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、スニチニブのCmax及びAUC0-∞がそれぞれ59%及び74%増加したが、N-脱エチル体はそれぞれ29%及び12%減少した。スニチニブとN-脱エチル体の両者を合わせたCmax及びAUC0-∞はそれぞれ49%及び51%増加した(外国人データ)。
  2. リファンピシン
    日本人及び外国人健康成人男性25例に本剤50mgをリファンピシン(600mg、1日1回17日間投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、スニチニブのCmax及びAUC0-∞がそれぞれ56%及び78%低下したが、N-脱エチル体はそれぞれ137%及び27%上昇した。スニチニブとN-脱エチル体の両者を合わせたCmax及びAUC0-∞はそれぞれ23%及び46%低下した。
    注)本剤の承認された用量は、消化管間質腫瘍及び腎細胞癌では1回50mg、膵神経内分泌腫瘍では1回37.5mgである。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍〉
  1. 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験
    イマチニブメシル酸塩の治療歴を有する消化管間質腫瘍患者(30例)を対象として、本剤50mg/日を4週間連日投与2週間休薬スケジュール(4/2スケジュール)で投与した結果、4例(13.3%)が部分奏効、8例(26.7%)が4コース(22週)以上持続する病状安定化であり、これを合わせたクリニカルベネフィット率は40.0%であった。
    投与量
    50mg(30例)
    奏効率注1)
     (95%信頼区間)
    クリニカルベネフィット率注2)
     (95%信頼区間)
    13.3%(4例)
    (3.8-30.7)
    40.0%(12例)
    (22.7-59.4)
    完全奏効(CR)
    部分奏効(PR)
    病状安定化(SD)≧4コース(22週)
    0%
    13.3%(4例)
    26.7%(8例)
    注1)RECISTによるCR+PRの症例の占める割合
    注2)RECISTによるCR+PR+4コース(22週)以上持続するSDの症例の占める割合
    本剤を投与された30例全例において副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、血小板減少27例(90.0%)、好中球減少27例(90.0%)、白血球減少26例(86.7%)、手足症候群26例(86.7%)、皮膚変色21例(70.0%)、疲労20例(66.7%)、食欲不振20例(66.7%)、下痢19例(63.3%)、ヘモグロビン減少18例(60.0%)、口内炎18例(60.0%)等であった。
  2. 海外第Ⅰ/Ⅱ相試験
    イマチニブメシル酸塩の治療に抵抗性又は不忍容の消化管間質腫瘍患者を対象として、本剤50mg/日を4/2スケジュールで投与された55例中5例(9.1%)が部分奏効、28例(50.9%)が22週以上持続する病状安定化であり、クリニカルベネフィット率は60.0%であった。
    無増悪期間中央値は34.0週(95%信頼区間:22.0-46.0)であった。
    本剤を投与された55例のうち、54例(98%)に副作用が認められた。主な副作用は、疲労37例(67%)、下痢31例(56%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群27例(49%)、口内炎23例(42%)、高血圧21例(38%)、悪心20例(36%)、皮膚変色15例(27%)、嘔吐15例(27%)、CK増加13例(24%)、味覚障害12例(22%)等であった。
  3. 海外第Ⅲ相試験
    イマチニブメシル酸塩の治療に抵抗性又は不忍容の消化管間質腫瘍患者を対象として、本剤50mg/日を4/2スケジュールで投与した結果、第Ⅲ相試験(スニチニブ群207例、プラセボ群105例)における無増悪期間中央値はスニチニブ群で27.3週、プラセボ群で6.4週であった。奏効率は、それぞれ6.8%(14/207)(95%信頼区間:3.7-11.1)、0%(0/105)であった。(2005年1月時点の中間解析結果)
    スニチニブ群
    (207例)
    プラセボ群
    (105例)
    p-値注)
    ハザード比
    無増悪期間中央値(週)
    (95%信頼区間)
    27.3
    (16.0-32.1)
    6.4
    (4.4-10.0)
    <0.001
    0.329
    (0.233-0.466)
    注)ログランク検定
    図1.独立効果判定機関の評価に基づく無増悪期間(TTP)のKaplan-Meier曲線
    本剤投与群で安全性評価対象202例のうち、168例(83%)に副作用が認められた。主な副作用は、疲労68例(34%)、下痢59例(29%)、皮膚変色50例(25%)、悪心48例(24%)、食欲不振38例(19%)、味覚異常36例(18%)、口内炎31例(15%)、嘔吐31例(15%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群28例(14%)、発疹26例(13%)等であった。
〈根治切除不能又は転移性の腎細胞癌〉
  1. 国内第Ⅱ相試験
    腎細胞癌患者(未治療患者群25例、既治療患者群26例)を対象として、本剤50mg/日を4/2スケジュールで投与した結果、未治療患者群の奏効例は12例(48.0%)、既治療患者群の奏効例は12例(46.2%)であった。組織分類では淡明細胞癌が96.1%(49/51)であった。
    未治療患者群
    (25例)
    既治療患者群
    (26例)
    奏効率注)
     (95%信頼区間)
    48.0%(12例)
    (27.8-68.7)
    46.2%(12例)
    (26.6-66.6)
    完全奏効(CR)
    部分奏効(PR)
    4.0%(1例)
    44.0%(11例)
    0%
    46.2%(12例)
    注)RECISTによるCR+PRの症例の占める割合
    本剤を投与された51例全例において副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、血小板減少47例(92.2%)、白血球減少43例(84.3%)、好中球減少40例(78.4%)、皮膚変色37例(72.5%)、LDH増加36例(70.6%)、リンパ球数減少35例(68.6%)、リパーゼ増加32例(62.7%)、食欲不振31例(60.8%)、AST増加31例(60.8%)、疲労30例(58.8%)等であった。
  2. 海外第Ⅱ相試験
    腎細胞癌患者(既治療患者群106例)を対象として、本剤50mg/日を4/2スケジュールで投与した結果、奏効率は25.5%(27/106)であり、無増悪期間中央値は34.0週(95%信頼区間:24.1-36.0)であった。組織分類では淡明細胞癌が91.5%(97/106)であった。(2005年1月時点の中間解析結果)
    本剤を投与された106例のうち、105例(99%)に副作用が認められた。主な副作用は、疲労53例(50%)、味覚異常50例(47%)、下痢49例(46%)、悪心47例(44%)、口内炎41例(39%)、消化不良39例(37%)、食欲不振33例(31%)、皮膚変色31例(29%)、嘔吐28例(26%)、発疹25例(24%)等であった。
  3. 海外第Ⅱ相試験
    腎細胞癌患者(既治療患者群63例)を対象として、本剤50mg/日を4/2スケジュールで投与した結果、奏効率は36.5%(23/63)であり、無増悪期間中央値は37.7週(95%信頼区間:24.0-46.4)であった。組織分類では淡明細胞癌が87.3%(55/63)であった。
    本剤を投与された63例のうち、61例(97%)に副作用が認められた。主な副作用は、疲労45例(71%)、悪心37例(59%)、下痢34例(54%)、口内炎29例(46%)、消化不良29例(46%)、嘔吐24例(38%)、皮膚変色23例(37%)、味覚障害21例(33%)、便秘18例(29%)、駆出率異常16例(25%)であった。
  4. 海外第Ⅲ相試験
    腎細胞癌患者(未治療患者群)を対象として、本剤(50mg/日、4/2スケジュール)又はインターフェロン アルファ-2a(6週間を1サイクルとして週3回間歇皮下投与、1週目3MU、2週目6MU、3週目以降9MU)を投与した第Ⅲ相無作為化比較試験の結果、無増悪生存期間中央値はスニチニブ群で47.3週(95%信頼区間:42.6-50.7)、インターフェロン アルファ-2a群で22.0週(95%信頼区間:16.4-24.0)であった。奏効率はそれぞれ27.5%(103/375)及び5.3%(20/375)であった。組織分類では淡明細胞癌がそれぞれ89.1%(334/375)及び90.4%(339/375)であった。(2005年11月時点の中間解析結果)
    スニチニブ群
    (375例)
    インターフェロン アルファ-2a群
    (375例)
    p-値注)
    ハザード比
    無増悪生存期間中央値(週)
    (95%信頼区間)
    47.3
    (42.6-50.7)
    22.0
    (16.4-24.0)
    <0.001
    0.415
    (0.320-0.539)
    注)ログランク検定
    図2.独立効果判定機関の評価に基づく無増悪生存期間(PFS)のKaplan-Meier曲線
    本剤を投与された375例のうち、357例(95.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢199例(53.1%)、疲労191例(50.9%)、悪心166例(44.3%)、味覚異常158例(42.1%)、消化不良96例(25.6%)、食欲不振96例(25.6%)、口内炎94例(25.1%)、嘔吐90例(24%)、高血圧89例(23.7%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群76例(20.3%)等であった。
〈膵神経内分泌腫瘍〉
  1. 国内第Ⅱ相試験
    根治切除不能な進行再発・転移高分化型膵神経内分泌腫瘍(12例)を対象として、本剤37.5mg/日を連日投与した結果、5例(41.7%)が部分奏効、4例(33.3%)が24週以上持続する病状安定化であり、これを合わせたクリニカルベネフィット率は75.0%であった。
    投与量
    37.5mg(12例)
    奏効率注1)
     (95%信頼区間)
    クリニカルベネフィット率注2)
     (95%信頼区間)
    41.7%(5例)
    (15.2-72.3)
    75.0%(9例)
    (42.8-94.5)
    完全奏効(CR)
    部分奏効(PR)
    病状安定化(SD)≧24週
    0%
    41.7%(5例)
    33.3%(4例)
    注1)RECISTによるCR+PRの症例の占める割合
    注2)RECISTによるCR+PR+24週以上持続するSDの症例の占める割合
    本剤を投与された12例全例において副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、下痢9例(75.0%)、高血圧8例(66.7%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群8例(66.7%)、頭痛6例(50.0%)、味覚異常5例(41.7%)、発熱5例(41.7%)、悪心4例(33.3%)、疲労4例(33.3%)、好中球数減少4例(33.3%)等であった。
  2. 海外第Ⅲ相試験
    根治切除不能な進行再発・転移高分化型膵神経内分泌腫瘍患者における第Ⅲ相無作為化二重盲検プラセボ比較試験において、本剤37.5mg/日を連日投与した。本試験(スニチニブ群86例、プラセボ群85例)は、事前に計画された中間解析に必要なイベント数に到達する前に早期中止され、試験中止時における無増悪生存期間中央値はスニチニブ群で11.4ヵ月(95%信頼区間:7.4-19.8)、プラセボ群で5.5ヵ月(95%信頼区間:3.6-7.4)、ハザード比は0.418(95%信頼区間:0.263-0.662)であった。
    図3.治験責任(分担)医師の評価に基づく無増悪生存期間(PFS)のKaplan-Meier曲線
    本剤を投与された83例において発現した主な副作用は、下痢44例(53.0%)、悪心32例(38.6%)、無力症26例(31.3%)、疲労24例(28.9%)、毛髪変色24例(28.9%)、好中球減少症24例(28.9%)、嘔吐21例(25.3%)、高血圧19例(22.9%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群19例(22.9%)、口内炎18例(21.7%)等であった。

その他

  1. QT間隔に対する影響
    進行固形癌患者24例の評価可能例を対象にQT間隔延長の検討を行った。薬物血漿中濃度が治療域の場合、QTcF平均値のベースラインからの最大変化は、9.6msec(90%信頼区間の上限15.1msec)であった。薬物血漿中濃度が治療域の約2倍の場合、QTcF平均値のベースラインからの最大変化は、15.4msec(90%信頼区間の上限22.4msec)であった。陽性対照として投与したモキシフロキサシン(400mg)のQTcF平均値のベースラインからの最大変化は5.6msecであった。グレード2(CTCAE version 3.0)を超えるQTc間隔の延長は認められず、不整脈が認められた患者はなかった(外国人データ)。

薬効薬理

作用機序
In vitroの試験において、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR-α及びPDGFR-β)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR-1、VEGFR-2及びVEGFR-3)、幹細胞因子受容体(KIT)、fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)、コロニー刺激因子-1受容体(CSF-1R)及びグリア細胞由来神経栄養因子受容体(RET)の受容体チロシンキナーゼ活性を阻害した。また、in vivoの腫瘍においてもPDGFR-β、VEGFR-2、KIT及びFLT3のリン酸化を阻害した。
抗腫瘍効果
ヒト腫瘍異種移植、マウス同系白血病、トランスジェニックマウス、及び化学発癌の各げっ歯類腫瘍モデルにおいて腫瘍増殖阻害、腫瘍の退縮の効果を示した。
血管新生阻害効果
In vitroにおいて、VEGFによる血管内皮細胞の増殖及び内皮細胞による血管発芽を阻害した。また、ヒト腫瘍異種移植ヌードマウス及びヒト新生児包皮を移植したSCIDマウスにおいて、移植部位における血管新生を阻害した。
代謝物の薬理作用
In vitroの試験において、無細胞系又は細胞系におけるVEGFR-2、PDGFR-β及びKITのリン酸化に対する本剤及び主要代謝物(N-脱エチル体)のKi値又はIC50値はそれぞれ3~13nmol/L及び2~20nmol/L、VEGFR-2、PDGFR-α又はPDGFR-βを発現した細胞の増殖に対するIC50値はそれぞれ4~69nmol/L及び20~100nmol/Lであった。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
スニチニブリンゴ酸塩(Sunitinib Malate)
化学名
N-[2-(Diethylamino)ethyl]-5-[(Z)-(5-fluoro-2-oxo-1,2-dihydro-3H-indol-3-ylidene)methyl]-2,4-dimethyl-1H-pyrrole-3-carboxamide mono[(2S)-2-hydroxysuccinate]
分子式
C22H27FN4O2・C4H6O5
分子量
532.56
性状
スニチニブリンゴ酸塩は黄色~だいだい色の粉末である。ジメチルスルホキシドにやや溶けやすく、N,N-ジメチルホルムアミドにやや溶けにくく、水又はメタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
化学構造式
分配係数(logD)
2.7(pH7.4、1-オクタノール/水)

包装

56カプセル[14カプセル(PTP)×4]

主要文献

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社内資料:胚・胎児発生に関する試験(承認年月日:2008.4.16、CTD2.6.6.6)[L20080218001]
2
社内資料:排泄の検討(ラット)(承認年月日:2008.4.16、CTD2.6.4.6)[L20080218002]
3
NDBを用いた調査結果の概要(VEGF/VEGFR阻害作用を有する薬剤の動脈解離に関するリスク評価):https://www.pmda.go.jp/files/000266521.pdf
4
社内資料:反復投与毒性試験(承認年月日:2008.4.16、CTD2.6.6.3)[L20080218003]
5
社内資料:6ヵ月がん原性試験(マウス)(承認年月日:2012.8.10、CTD2.6.6.5)[L20100521002]
6
社内資料:2年間がん原性試験(ラット)(承認年月日:2012.8.10、CTD2.6.6.5)[L20110614040]
7
社内資料:健康成人における薬物動態(単回投与)(承認年月日:2008.4.16、CTD2.7.2.2.2.1)[L20080218004]
8
社内資料:国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(消化管間質腫瘍) (承認年月日:2008.4.16、CTD2.7.2.2.2.4、2.7.6)[L20080218005]
9
社内資料:国内第Ⅱ相試験(膵神経内分泌腫瘍)(承認年月日:2012.8.10、CTD2.7.2.2.1、2.7.6)[L20120217025]
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社内資料:健康成人における薬物動態(食事の影響)(承認年月日:2008.4.16、CTD2.7.3A、2.7.1.2)[L20080218006]
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社内資料:外国第Ⅰ/Ⅱ相試験(消化管間質腫瘍)(承認年月日:2008.4.16、CTD2.7.3A.2、2.7.6)[L20080218015]
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社内資料:固形がん患者におけるQT間隔に対する影響 (承認年月日:2008.4.16、CTD2.7.4.4.2.2.4)[L20080218013]
24
社内資料:薬効薬理試験(承認年月日:2008.4.16、CTD2.6.2.2)[L20080218020]

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