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閲覧履歴

グレースビット錠50mg

広範囲経口抗菌製剤

1錠 115.4円

添付文書番号

6241018C1020_1_21

企業コード

430574

作成又は改訂年月

2020年8月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

876241

薬効分類名

広範囲経口抗菌製剤

承認等

販売名

グレースビット錠50mg

販売名コード

6241018F1027

販売名英字表記

GRACEVIT TABLETS

承認番号等

承認番号
22000AMX00015

販売開始年月

2008年6月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

グレースビット細粒10%

販売名コード

6241018C1020

販売名英字表記

GRACEVIT FINE GRANULES

承認番号等

承認番号
22000AMX00016

販売開始年月

2008年6月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

シタフロキサシン水和物製剤

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 本剤の成分又は他のキノロン系抗菌薬に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性
  3. 小児等

組成・性状

組成

グレースビット錠50mg
有効成分
1錠中
シタフロキサシン水和物  53.3mg
シタフロキサシンとして  50mg
添加剤
D-マンニトール、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、タルク、マクロゴール6000、ジメチルポリシロキサン、二酸化ケイ素、カルナウバロウ
グレースビット細粒10%
有効成分
細粒1g中
シタフロキサシン水和物  106.6mg
シタフロキサシンとして  100mg
添加剤
D-マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、黄色三二酸化鉄、ヒドロキシプロピルセルロース、メタクリル酸コポリマーLD、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、クエン酸トリエチル、軽質無水ケイ酸、アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)、香料

製剤の性状

グレースビット錠50mg
剤形フィルムコーティング錠
色調白色~微黄白色
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(直径)
7.7mm
大きさ(厚さ)
約4.1mm
質量約165mg
グレースビット細粒10%
剤形コーティング細粒
色調淡黄色~黄色

効能又は効果

〈適応菌種〉
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
〈適応症〉
  • 咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染
  • 膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎
  • 子宮頸管炎
  • 中耳炎、副鼻腔炎
  • 歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

効能又は効果に関連する注意

〈効能共通〉
  1. 本剤は下痢、軟便が高頻度に認められているため、本剤の使用に際しては、リスクとベネフィットを考慮すること。
〈咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、副鼻腔炎〉
  1. 「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

用法及び用量

通常、成人に対してシタフロキサシンとして1回50mgを1日2回又は1回100mgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分と思われる症例には、シタフロキサシンとして1回100mgを1日2回経口投与することができる。

用法及び用量に関連する注意

腎機能が低下している患者では、本剤の血中濃度が上昇するため、投与量、投与間隔を調節すること。
参考:腎機能障害患者におけるシタフロキサシンの用法及び用量の目安
クレアチニンクリアランス(CLcr)値(mL/min)
用法及び用量の目安
(体重60kgとした場合)
50≦CLcr
50mg1日2回又は100mg1日1回
30≦CLcr<50
50mg1日1回
10≦CLcr<30
1回50mgを48時間以上の間隔毎

重要な基本的注意

  1. 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
  2. 大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
    痙攣を起こすことがある。
  2. 重症筋無力症の患者
    類薬で症状を悪化させるとの報告がある。
  3. 大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子(マルファン症候群等)を有する患者
    必要に応じて画像検査の実施を考慮すること。海外の疫学研究において、フルオロキノロン系抗菌薬投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの報告がある。

腎機能障害患者

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で器官形成期の投与において、胎児の体重減少及び骨化遅延、出生児(離乳後)の体重増加抑制が認められている。動物実験(ウサギ)で器官形成期の投与において、流産及び胎児の骨格変異の増加が認められている。

授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。

小児等

投与しないこと。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。動物実験(幼若犬)で関節部の軟骨障害が認められている。

高齢者

  1. 腱障害があらわれやすいとの報告がある。
  2. 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

相互作用

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸薬等、カルシウム剤、鉄剤
乾燥水酸化アルミニウムゲル、酸化マグネシウム、乾燥硫酸鉄、沈降炭酸カルシウム等
本剤の効果が減弱されるおそれがある。これらの薬剤は本剤投与後2時間以上あけて投与する。
これらの薬剤とキレートを形成し、本剤の吸収が低下すると考えられている。
フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬
ケトプロフェン等
痙攣を起こすことがある。
中枢神経におけるGABAA受容体への結合阻害が増強されると考えられている。
副腎皮質ホルモン剤(経口剤及び注射剤)
プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン等
腱障害のリスクが増大するとの報告がある。これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること。
機序は不明である。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
    血圧低下、呼吸困難、皮疹、血管性浮腫等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  2. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
  3. 急性腎障害(頻度不明)
  4. 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明)
    AST上昇、ALT上昇等があらわれることがある。
  5. 汎血球減少症(頻度不明)、無顆粒球症(頻度不明)、溶血性貧血(頻度不明)、血小板減少(頻度不明)
  6. 偽膜性大腸炎(頻度不明)
    腹痛、頻回の下痢等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  7. 低血糖(頻度不明)
    低血糖性昏睡に至る例も報告されている。糖尿病患者、腎機能障害患者、高齢者であらわれやすい。
  8. 錯乱(頻度不明)、せん妄(頻度不明)、幻覚等の精神症状(頻度不明)
  9. 大動脈瘤(頻度不明)、大動脈解離(頻度不明)
  10. アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害(頻度不明)
    腱周辺の痛み、浮腫、発赤等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  11. 痙攣(頻度不明)
  12. QT延長(頻度不明)、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)(頻度不明)
  13. 間質性肺炎(頻度不明)
  14. 横紋筋融解症(頻度不明)

その他の副作用

1~10%未満
0.1~1%未満
頻度不明
過敏症
発疹
そう痒症、蕁麻疹
光線過敏症
精神神経系
頭痛
めまい、不眠症
消化器
軟便注)、下痢注)、腹痛
腹部不快感、悪心、腹部膨満、便秘、消化不良、口唇炎、嘔吐、口渇、口内炎、排便回数増加、舌炎、口の錯感覚
肝臓
ALT上昇、AST上昇、γ-GTP上昇
ALP上昇、LDH上昇
血液
好酸球数増加
好中球数減少、血小板数増加、白血球数減少、白血球数増加
その他
CK上昇、血糖減少、血中カリウム増加、トリグリセリド増加、尿蛋白陽性、腟カンジダ症、異常感、血中カリウム減少、背部痛、悪寒、倦怠感
浮腫
注)

適用上の注意

薬剤交付時の注意
〈錠〉
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

その他の注意

非臨床試験に基づく情報
培養細胞(チャイニーズ・ハムスター由来)で、光染色体異常誘発性が認められている(in vitro)。

薬物動態

血中濃度

健康成人男性にシタフロキサシンを単回経口投与(空腹時及び食後)した場合、血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりである,
シタフロキサシン単回経口投与時の血清中濃度推移
シタフロキサシン単回経口投与時の薬物動態パラメータ
投与量
例数
Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
AUC0-∞
(μg・hr/mL)
Vdz/F
(L/kg)
50mg空腹時
6
0.51±0.14
1.2±0.5
6.2±0.4
2.62±0.52
2.8±0.5
100mg空腹時
6
1.00±0.14
1.2±0.5
5.7±0.7
5.55±1.22
2.5±0.7
100mg食後
6
0.88±0.31
2.0±0.8
5.5±0.5
5.81±1.31
2.3±0.3
ノンコンパートメント解析(mean±SD)

分布

  1. シタフロキサシン50mg又は100mgを単回経口投与した場合の各組織及び体液中濃度は次のとおりであり、良好な組織移行性が確認された,,
    組織・体液中シタフロキサシン濃度
    組織・体液
    投与量
    例数
    投与後時間(hr)
    組織・体液中濃度
    (μg/g、μg/mL)
    対血清中濃度比
    中耳粘膜
    100mg
    9
    2.7~3.1
    0.82±0.73
    1.4±0.7注1)
    上顎洞粘膜
    100mg
    4
    2.0~3.0
    0.56±0.31
    1.1±0.8
    篩骨洞粘膜
    100mg
    6
    2.3~4.0
    0.96±0.61
    1.6±0.5
    口蓋扁桃
    50mg
    10
    2.0~3.8
    0.63±0.20
    1.8±0.4
    歯肉
    50mg
    10
    2.7~3.7
    0.57±0.17
    1.3±0.4
    抜歯創貯留液
    50mg
    10
    2.7~3.7
    0.32±0.17
    0.8±0.5
    mean±SD
    注1)血清中濃度が定量下限未満となった被験者以外の8名の値
  2. 血清蛋白結合率
    健康成人にシタフロキサシンを100mg単回経口投与した場合、投与後1時間、4時間、8時間における本剤の血清蛋白結合率は46%~55%(限外ろ過法)であり、いずれの時点においてもほぼ一定の値を示した。
  3. ラット乳汁移行性
    分娩後9日目の哺育中ラットに14C標識シタフロキサシン水和物4.69mg/kgを非絶食下単回経口投与したとき、投与後8時間までの乳汁中放射能濃度の血清中濃度に対する比は2.59~4.25であった。

代謝

シタフロキサシンはほとんど代謝を受けず、未変化体のまま尿中に排泄された。一部、血清、尿、糞中代謝物としてグルクロナイド、7'-オキソ体、7'S-水酸化体、7'S-水酸化体グルクロナイド、N-アセチル抱合体が認められた(外国人データ)。
ヒト生体試料を用いたin vitro試験では、チトクロームP450分子種CYP1A1及びCYP1A2に対し弱い阻害を示したが、CYP2C9、CYP2D6及びCYP3A4などに対しては、阻害は認められなかった(in vitro)。

排泄

健康成人にシタフロキサシン50mg、100mgを空腹時単回経口投与した場合、投与後48時間までに、それぞれ投与量の約70%が未変化体のまま尿中に排泄された。
また、14C標識シタフロキサシン100mg単回経口投与後、72時間までに放射能の約80%が尿中へ、約20%が糞中に排泄された(外国人データ)。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害患者
    CLcr値により3群に分け、シタフロキサシン50mgを空腹時単回投与した場合、腎機能低下に伴い、血清中濃度の消失の遅延及び尿中排泄の遅延が認められた。
    腎機能障害患者における薬物動態パラメータ
    腎機能CLcr(mL/min)
    例数
    Cmax
    (μg/mL)
    Tmax
    (hr)
    t1/2
    (hr)
    AUC0-24hr
    (μg・hr/mL)
    累積尿中排泄率(%)
    0~24時間
    0~48時間
    軽度障害群
    60≦CLcr<90
    6
    0.63±0.35
    1.7±1.1
    7.5±1.3
    4.18±0.91
    43.4±7.1
    48.9±7.4
    中等度障害群
    30≦CLcr<60
    3
    0.75±0.22
    1.5±1.3
    11.5±2.2
    6.29±1.21
    37.4±4.2
    44.7±2.2
    重度障害群
    10≦CLcr<30
    3
    0.60±0.06
    1.8±1.9
    16.3±2.1
    6.33±0.67
    14.5±5.1
    20.1±5.8
    ノンコンパートメント解析(mean±SD)
    参考:腎機能低下患者の目安とされる用法及び用量で投与した場合の母集団薬物動態解析から推定した薬物動態パラメータ
    腎機能CLcr
    (mL/min)
    母集団薬物動態解析から推定したパラメータ注2)
    Cmax
    (μg/mL)
    AUC0-24hr
    (μg・hr/mL)
    50≦CLcr
    Cmax≦0.72注3)
    AUC0-24hr≦12.92注3)
    Cmax≦1.01注4)
    AUC0-24hr≦12.92注4)
    30≦CLcr<50
    0.51<Cmax≦0.67
    6.46<AUC0-24hr≦10.78
    10≦CLcr<30
    0.50<Cmax≦0.91
    5.39<AUC0-48hr×1/2≦16.13
    注2)体重60kgとした場合
    注3)50mg 1日2回
    注4)100mg 1日1回
  2. 高齢者
    高齢者5名(67~80歳)及び非高齢者6名(25~35歳)にシタフロキサシン100mgを空腹時単回投与した場合、非高齢者群に比べて高齢者群では、t1/2の延長、Cmaxの低下及びAUC0-24hrの増加がみられた。シタフロキサシンの薬物動態は、加齢に伴う吸収・排泄機能低下により影響されることが示唆された。
    高齢者及び非高齢者における薬物動態パラメータ
    例数
    Cmax
    (μg/mL)
    Tmax
    (hr)
    AUC0-24hr
    (μg・hr/mL)
    t1/2注5)
    (hr)
    高齢者
    5
    0.61±0.23
    3.80±1.48
    6.35±1.51
    6.05±1.19
    非高齢者
    6
    0.91±0.38
    0.92±0.20
    4.86±0.82
    3.30±1.18
    ノンコンパートメント解析(mean±SD)
    注5)1-コンパートメントモデル解析により算出

薬物相互作用

  1. アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸薬等、カルシウム剤、鉄剤
    シタフロキサシン100mgを単回経口投与時に、乾燥水酸化アルミニウムゲル(1g)、酸化マグネシウム(500mg)、沈降炭酸カルシウム(1g)又は乾燥硫酸鉄(鉄として50mg)を併用経口投与した場合、シタフロキサシンのAUC0-24hrはそれぞれシタフロキサシン単独投与時の25%、49%、68%及び44%に低下し、シタフロキサシンのCmaxはそれぞれシタフロキサシン単独投与時の18%、43%、63%及び33%に低下した。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    呼吸器感染症患者を対象とした臨床試験において、シタフロキサシン50mgを1日2回又は100mgを1日1~2回投与したときの疾患別の有効率は次のとおりである。
    疾患名
    有効例数/評価対象例数
    有効率(%)
    呼吸器感染症 全体
    489/524
    93.3
    咽頭・喉頭炎
    8/8
    100
    扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)
    11/12
    91.7
    急性気管支炎
    14/14
    100
    肺炎
    全体
    350/373
    93.8
    細菌性肺炎
    323/344
    93.9
    非定型肺炎(細菌との混合感染を含む)
    全体
    27/29
    93.1
    マイコプラズマ肺炎
    20/22
    90.9
    クラミジア肺炎
    6/6
    100
    レジオネラ肺炎
    1/1
    慢性呼吸器病変の二次感染
    106/117
    90.6
〈膀胱炎、腎盂腎炎〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    尿路感染症患者を対象とした臨床試験において、シタフロキサシン50mg又は100mgを1日2回投与したときの疾患別の有効率は次のとおりである。
    疾患名
    有効例数/評価対象例数
    有効率(%)
    尿路感染症 全体
    302/318
    95.0
    膀胱炎
    239/252
    94.8
    腎盂腎炎
    63/66
    95.5
〈尿道炎、子宮頸管炎〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    非淋菌性性感染症患者を対象とした臨床試験において、シタフロキサシン50mgを1日2回投与したときの疾患別の有効率は次のとおりである。
    疾患名
    有効例数/評価対象例数
    有効率(%)
    非淋菌性性感染症 全体
    70/75
    93.3
    尿道炎
    全体
    31/35
    88.6
    非淋菌性クラミジア性
    23/27
    85.2
    非淋菌性非クラミジア性
    8/8
    100
    子宮頸管炎
    39/40
    97.5
    副作用発現頻度は25.3%(22/87例)であり、主な副作用は下痢11.5%(10/87例)であった。
〈中耳炎、副鼻腔炎〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    耳鼻咽喉科領域感染症患者を対象とした臨床試験において、シタフロキサシン50mg又は100mgを1日2回投与したときの疾患別の有効率は次のとおりである。
    疾患名
    有効例数/評価対象例数
    有効率(%)
    耳鼻咽喉科領域感染症 全体
    85/96
    88.5
    中耳炎
    43/49
    87.8
    副鼻腔炎
    42/47
    89.4
    副作用発現頻度は37.3%(38/102例)であり、主な副作用は下痢19.6%(20/102例)であった。
〈歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    歯科・口腔外科領域感染症患者を対象とした臨床試験において、シタフロキサシン50mg又は100mgを1日2回投与したときの疾患別の有効率は次のとおりである。
    疾患名
    有効例数/評価対象例数
    有効率(%)
    歯科・口腔外科領域感染症 全体
    41/42
    97.6
    歯周組織炎
    17/17
    100
    歯冠周囲炎
    7/7
    100
    顎炎
    17/18
    94.4
    副作用発現頻度は44.9%(22/49例)であり、主な副作用は下痢22.4%(11/49例)、ALT増加10.2%(5/49例)、AST増加6.1%(3/49例)であった。
〈効能共通〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    呼吸器感染症、尿路感染症、耳鼻咽喉科領域感染症、歯科・口腔外科領域感染症及び性感染症患者を対象とした臨床試験より収集した原因微生物の菌種別の菌消失率は次のとおりである。
    菌種・菌属
    消失菌株/菌消失率評価株数
    菌消失率(%)
    ブドウ球菌属
    108/113
    95.6
    レンサ球菌属(肺炎球菌を除く)
    61/61
    100
    肺炎球菌
    157/164
    95.7
    ペニシリン耐性肺炎球菌注1)
    13/14
    92.9
    ペニシリン中等度耐性肺炎球菌注2)
    50/52
    96.2
    マクロライド耐性肺炎球菌注3)
    110/116
    94.8
    多剤耐性肺炎球菌注4)
    81/85
    95.3
    腸球菌属
    111/112
    99.1
    モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス
    35/35
    100
    大腸菌
    123/133
    92.5
    シトロバクター属
    12/12
    100
    クレブシエラ属
    54/58
    93.1
    エンテロバクター属
    14/14
    100
    セラチア属
    7/9
    77.8
    プロテウス属
    7/8
    87.5
    モルガネラ・モルガニー
    4/4
    インフルエンザ菌
    108/108
    100
    BLNAR注5)
    31/31
    100
    緑膿菌
    33/47
    70.2
    呼吸器感染症由来緑膿菌
    2/11
    18.2
    尿路感染症由来緑膿菌
    30/33
    90.9
    ペプトストレプトコッカス属
    21/21
    100
    プレボテラ属
    33/33
    100
    ポルフィロモナス属
    3/3
    フソバクテリウム属
    2/2
    トラコーマクラミジア
    (クラミジア・トラコマティス)
    63/65
    96.9
    肺炎クラミジア
    (クラミジア・ニューモニエ)
    1/1
    肺炎マイコプラズマ
    (マイコプラズマ・ニューモニエ)
    13/13
    100
    注1)ペニシリンG;MIC≧2μg/mL[経口ペニシリンVの基準(CLSI法)を使用]
    注2)ペニシリンG;0.12μg/mL≦MIC≦1μg/mL[経口ペニシリンVの基準(CLSI法)を使用]
    注3)クラリスロマイシン;MIC≧1μg/mL又はエリスロマイシン;MIC≧1μg/mL
    注4)キノロン耐性(レボフロキサシン;MIC≧8μg/mL又はモキシフロキサシン;MIC≧4μg/mL)、ペニシリン耐性(ペニシリンG;MIC≧2μg/mL[経口ペニシリンVの基準(CLSI法)を使用])、セフェム耐性(セフロキシム;MIC≧2μg/mL)、マクロライド耐性(クラリスロマイシン;MIC≧1μg/mL又はエリスロマイシン;MIC≧1μg/mL)、テリスロマイシン耐性(テリスロマイシン;MIC≧4μg/mL)、テトラサイクリン耐性(テトラサイクリン;MIC≧8μg/mL)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム耐性(スルファメトキサゾール・トリメトプリム;MIC≧76/4μg/mL)、のうち2系統以上の耐性株
    注5)β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌

その他

  1. 光毒性に対する影響
    健康成人(白人)を対象とした臨床試験において、本剤を経口投与したときの光毒性指数注6)は次のとおりであり、紫外光照射により光毒性を示した(外国人データ)。
    投与群
    例数
    光毒性指数注6)(中央値)
    波長335±30nm
    波長365±30nm
    波長400±30nm
    シタフロキサシン500mg1日1回注7)
    6
    3.38
    11.10
    9.10
    シタフロキサシン500mg1日2回注7)
    6
    5.50
    18.30
    14.70
    注6)投与前の最小発赤線量の中央値/投与後の最小発赤線量の中央値(<1.4:なし、1.4-3.0:軽度、>3.0-6.0:中等度、>6.0:重度)
  2. QTcF間隔に対する影響
    健康成人を対象とした臨床試験において、本剤400mg、600mg又は800mgを1日2回静脈内投与注7)したときのQTcF間隔延長に用量相関性が認められ、変動幅の平均は10msec以下であった(外国人データ)。
    注7)本剤の承認された1日最大用量は経口投与100mg(効果不十分と思われる症例には200mg)である。

薬効薬理

作用機序
シタフロキサシンは細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣに対して阻害活性を示し、殺菌的に作用する。本剤の両酵素に対する阻害活性は、対照とした他のニューキノロン系抗菌薬より強かった,。さらに、本剤はキノロン耐性菌由来酵素に対しても強い阻害活性を示した,,in vitro)。
抗菌作用
シタフロキサシンは好気性又は嫌気性のグラム陽性菌及びグラム陰性菌、非定型菌に対し、幅広い抗菌スペクトルを有し、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)などに対して強い抗菌力を示した。特に肺炎球菌(ペニシリン耐性、マクロライド耐性及び多剤耐性肺炎球菌を含む)及び腸球菌属、緑膿菌及び大腸菌(キノロン耐性大腸菌を含む)に対して、他のニューキノロン系抗菌薬に比べ強い抗菌活性を示した,,,,
実験的感染症に対する治療効果
グラム陽性菌及びグラム陰性菌によるマウス敗血症モデルにおいて、シタフロキサシンはin vitroでの抗菌力を反映する感染防御効果を示した。また、肺炎球菌によるマウス呼吸器感染モデルにおいて、対照とした他のニューキノロン系抗菌薬より優れた治療効果を示した。
呼吸器感染症におけるPK/PD解析
成人の呼吸器感染症を対象とした臨床試験で実施したPK/PD解析結果から、AUC0-24hr/MIC又はCmax/MICの上昇に伴い、原因菌の消失率が上昇することが確認された。肺炎球菌22株を含む呼吸器感染症の主要原因菌の消失率は、AUC0-24hr/MICが100を超えた場合に96.3%(78/81)、Cmax/MICが5を超えた場合に96.3%(79/82)であった。また、肺炎球菌性呼吸器感染症を対象とした臨床試験における肺炎球菌の消失率は、血清中シタフロキサシン濃度を非結合型濃度に換算したfAUC0-24hr/MICが30を超えた場合に98.9%(89/90)、fCpeak/MICが2を超えた場合に98.9%(89/90)であった。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
シタフロキサシン水和物(Sitafloxacin Hydrate)
化学名
(-)-7-[(7S)-7-Amino-5-azaspiro[2.4]heptan-5-yl]-8-chloro-6-fluoro-1-[(1R,2S)-2-fluoro-1-cyclopropyl]-1,4-dihydro-4-oxo-3-quinolinecarboxylic acid sesquihydrate
分子式
C19H18ClF2N3O3・11/2H2O
分子量
436.84
性状
微黄白色~黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。
リン酸試液にやや溶けにくく、0.1mol/L塩酸試液、アセトニトリル又はメタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
光によって淡黄褐白色となる。
(リン酸試液:リン酸50gを水950mLに溶かす)
化学構造式
融点
217~223℃
分配係数
1-オクタノール/水(25℃);0.244
略号
STFX

取扱い上の注意

〈細粒〉
プラスチックボトル開封後は遮光して保存すること。

包装

〈グレースビット錠50mg〉
(プラスチックボトル:バラ) 100錠
(PTP) 100錠(10錠×10)
〈グレースビット細粒10%〉
(プラスチックボトル) 30g

主要文献

1
厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
2
Sieb JP:Neurology 1998;50(3):804-807
3
中島光好:日本化学療法学会雑誌 2008;56(S-1):154-155
4
Nakashima M, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1995;39(1):170-174
5
馬場駿吉ほか:日本化学療法学会雑誌 2008;56(S-1):110-120
6
佐々木次郎ほか:日本化学療法学会雑誌 2008;56(S-1):121-129
7
社内資料:シタフロキサシンの組織・体液中への移行性(2008年1月25日承認、CTD 2.7.2.3)
8
社内資料:哺育中ラットの乳汁中移行性の検討(2008年1月25日承認、CTD 2.6.4.6)
9
社内資料:体内動態の検討(2008年1月25日承認、CTD 2.7.2.2)
10
社内資料:チトクロームP450に及ぼす影響(2008年1月25日承認、CTD 2.6.4.7)
11
社内資料:14C標識物質を用いた体内動態の検討(2008年1月25日承認、CTD 2.7.6.11)
12
中島光好ほか:日本化学療法学会雑誌 2008;56(S-1):21-24
13
関野久邦:日本化学療法学会雑誌 2008;56(S-1):18-20
14
柴 孝也:日本化学療法学会雑誌 2008;56(S-1):25-31
15
神田裕子ほか:日本化学療法学会雑誌 2008;56(S-1):1-17
16
Onodera Y, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 2002;46(6):1800-1804
17
Tanaka M, et al.:J Infect Chemother. 2000;6(3):131-139
18
Akasaka T, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1999;43(3):530-536
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斎藤 厚ほか:日本化学療法学会雑誌 2008;56(S-1):63-80
20
Kohno S, et al.:J Infect Chemother. 2013;19(3):486-494
21
河田幸道ほか:日本化学療法学会雑誌 2008;56(S-1):92-102

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